14話 桃爺と竹爺の履歴書
「うーん……」
採用担当の田中は、両手に履歴書を持ったまま頭を抱えていた。
「どうした?田中」
「あ、先輩。例の隠し芸大会なんですが、珍しい経歴を持ったお爺さんが二人、応募してきてくれたんです」
「へぇ?良かったじゃないか」
「でも、肝心の隠し芸が、まだ決まっていないみたいなんです。面白い二人なので、ぜひ出演させたいんですが……」
「ちなみに、どんな経歴を持っているんだ?」
「一人は、桃を切る名人です。中に入っている人間を傷つけずに、桃を切ることが出来ます」
「ほう。もう一人は?」
「もう一方のお爺さんは竹割り名人です。中に入っている人間を傷つけずに、竹を割ることが出来ます」
「……どこかで聞いたような話だな。でも、それなら人体切断マジックで決まりだろ。その二人の才能があれば、タネも仕掛けも無しに、マジックが披露できるはずだ」
「その手がありましたか!」
桃爺と竹爺。
あの昔話を彩った老人の新たな伝説が、幕を開けようとしていた。
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