第91話 邪神クトゥルフの従者
「私の力……侮らないでね。終末の化け物なんて私の劣化コピーに過ぎないんだから。さあ、絶望に満ちて、死ね!」
アンネ、いや邪神クトゥルフの従者はその体から終末の化け物のように小さな球状の自身の一部を俺やみんなに向かって発射する。
もちろん慌ててイージスシステムを起動する。
しかし。
終末の化け物の時と同じだった。
黒い球体は迎撃すると破裂して酸の毒を撒き散らかす。
そして毒の強さは終末の化け物の比では無かった。
俺はとにかくスライム達を召喚する。
「みんな、総攻撃だ!」
白い光と共に現れたスライム達は声を揃えて答える。
「「「「「「「「「「「「はーい♪ アル様♪」」」」」」」」」」」」
元気よく答えてナイトスライムとロードスライムに管制されてアークウィザードスライムからは極超音速マジックミサイルが次々と打ち込まれて行く。
例え最強の魔物、ドラゴンだとしても1発で即死するマジックミサイルを受けたアンネは。
「無駄だ。その程度の攻撃。私には効かん」
「アル様♪ 私達のドローン攻撃でやってみまーす♪」
4号達アークプリースト達が数百のドローンを生み出して、小さなドローンスライム達がアンネ、いやクトゥルフの従者に向かって攻撃を開始する。
ドローンスライムはその1匹がファイタースライムに相当する力を持っている。
この攻撃に耐えられるとは思えない。
しかし。
突然、クトゥルフの従者から無数の細い蔦の剣が矢印のように現れて、ジグザグと進んで、ドローン達を迎撃してしまう。
こちらに被害は出ないものの、俺は焦りを覚えた。
「アル! レールガンよ! スライムちゃん達に時間を稼いでもらって、レールガンで一気に勝負を決めるのよ!」
クリスの叫びが聞こえる。
確かにこいつにはスライム達の力が効かない。
唯一の対抗手段は。
スキル【レールガン】しかない。
「アイリス、みんな! 時間を稼いでくれ! 俺がレールガンで勝負を決める!」
「はい! わかりましたアル様♪」
そして、アイリス達ナイトウィザード達は姿を消した。ステルスのスキルを使ったんだ。そしてロードスライムのクララ達はイージスのスキルでウィザードスライムのマジックミサイルで支援する。更にクララ達のドローンスライムが次々とクツゥフに従者に向かって襲い掛かって行く、だが。
クトゥルフの従者から現れた数百の蔦、矢印のような形をした剣によってたちまち迎撃される。
スライム達が遅れをとっている。
しかし、今はスライム達を気遣う余裕はなかった。
俺はレールガンを起動していた。
巨大なバスターランチャを背負い、魔力を注ぎ込んで行く。
凄まじい魔力の翻弄が渦巻き、クリス達の髪を靡かせ、それは発射準備が整った。
「アイリス、ベティ、クララ、デリカ! よくやってくれた! 今決めるぞ!」
俺はそう叫ぶと、クトゥルフの従者に向かってレールガンを発射した。
しかし。
クトゥルフの従者は終末の化け物と同じように防御の姿勢をとらなかった。
まさかな。
この威力に耐えるなんてな。
俺はそう信じたかった。
だが。
「ふふふ、1000年前の勇者もその技では私を倒せなかったわよ、観念するのね」
信じがたいことにレールガンの着弾点からおびただしい魔力と黒煙が上がり凄まじいエネルギーを受けた筈のクトゥルフの従者はなおも平然とそこに居続けた。
「ば、馬鹿な……」
俺は思わず呟いた。
しかし、その時、また天の声が聞こえた。
『ごめんごめん。さっきのスタンビードの起きたダンジョンの経験値計算ミスしてたわぁ。経験値1000億だった。一桁間違えちゃった、てへ』
てめえ! そんなの冒険者だとか、致命傷になるぞ。
『そんなに怒らないでよ。特別に経験値2000億にしとくから。どうせ女神様も見て見ぬふりすると思うから大丈夫よ』
なんか、真面目に経験値稼いでた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
『レベルが5000になりました。どうでもいいスキルはパスして、いいスキルだけ教えるね。先ずはスキル【ワンウェイ】、自分の攻撃は行くけど敵の攻撃は全部敵にはね返るわよ。これだけで邪神の僕でも勝てないわよ。後ね、【女神の杖】これ衛生軌道上から魔力がこもったタングステン製の特殊金属棒を地上に撃ち落とすヤツよ。1000年前に女神様が全ての力を注いで人となる代わりに作ったこの世界最強の武器よ。連射も可能だからね』
えっと。
それ聖伝にある女神様の天罰、【女神の杖】のことじゃねえ?
マジか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます