第9話 進化スライム無双

『スライムを進化させますか?』


まさかの土壇場でのレベルアップ。しかも、スライムの進化が可能だという。


驚いたが、ここは進化させるしかない。


「進化させる!」


『スライム進化の意思を確認、スライム1号をファイタースライムに、2号をウィザードスライムに、3号をプリーストスライムに、4号をアーマースライムに進化させますか?』


「頼む!!」


『意思確認、スライムを進化させます』


気がつくと4匹のスライムは光に包まれていた。


そして、光が消えてそこに現れたのは……


「アル様、スライム1号、ファイターとして進化しました」


「アル様の2号、ウィザードとして進化しました。ご命令を」


「同3号、プリーストとして生まれ変わりました。何なりとご指示を」


「同4号、アーマーとして参上しました。何なりとおまかせください」


そこに現れたのは4人の女の子だった。歳は多分12、3才位か?


「子供じゃねぇか!?」


「「「「子供じゃありません!!」」」」


「いや、どう見ても子供だろ?」


マジ、どう見ても子供だろ? この子達に戦えって言うの?


「「「「マスターご指示を!! あと、なんならキスしてあげますよ!!」」」」


「出来るかぁー!!!!」


12,3の子供にそんなこと出来るか!


俺は女嫌いだが、子供は別だ。


でも子供にそんなこと出来ないし、そんなのバレたら、俺が社会的に死ぬだろ?


しかし、どちらにしても今はピンチだ。


戦ってもらうしかないか?


「1号、4号、俺と前衛で戦え、3号は適時回復と2号の護衛、2号は出来るだけでかい攻撃魔法でゴブリンの群れを吹き飛ばせ!!」


「「「「承知しました!」」」」


一体、どんなスキルなんだよ?


俺のスライム召喚のスキル、色々突っ込みどころが多すぎるでち。


しかし、俺の心配をよそに4匹、いや4人の戦いぶりは凄まじいものだった。


4号が最前衛でタンク役を見事にこなす。4号のアーマースライムは銀の長い髪をなびかせて頑丈そうな鎧を身に纏い、ゴブリンの多少の攻撃を素で受けても、びくともしなかった。


1号は4号の作った壁を背に戦鬼のように次々とゴブリン達を斬り殺す。


3号は時々前衛を突破したゴブリンをロッドで倒す一方、アーマーの4号に防御魔法や回復魔法をかける。そして、2号は。


「主 は 焼きつくす火、万軍の主 は 焼きつくす火の炎をもって臨まれる、燃え盛る火はその真価を我が身に示せ『紅蓮の祝福【プロメテウス・ブレイズ 】』!!」 」


2号の魔法が完成し、ゴブリンの後方を襲う。


プロメテウス・ブレイズ 、神級の広範囲攻撃魔法だ。


「「「「「「ギャギャギャ」」」」」」


たくさんの悲鳴と共に、ゴブリンの後方部隊は壊滅した。


4人はそれぞれジョブみたいなモノを持っているようだ。


この子ら、俺より強いでち。ちょっと怖いでち。


「アル様、申し訳ございません。今の神級魔法でMPが尽きました」


「いいよ。よくやってくれた、あらかたのゴブリンはやっつけた。あとは俺たちに任せておけ! 敵には後方支援職がいない、今がチャンスだ!」


「ありがとうございます! アル様の2号さんの自覚が出て来ました!」


「その紛らわしい言い方!」


勘弁してくれ、12、3歳の幼い女の子が2号さんとか、俺ヤバい奴と思われるだろ!


とは言え、2号の護衛に3号を残してゴブリンの群れへ突き進み、蹂躙する。


俺の剣が次々とゴブリンの戦士達を屠る。


スライム1号と4号も連携して次々とゴブリンに止めを刺して行った。


1号の綺麗な金髪も4号の銀髪も血に塗れて真っ赤に染まる。


「オラァー!!」


雄叫びをあげて突き進むと、ついに親玉の元へ辿り着いた。


「ゴブリンキングか?」


「ギャギャギャァア!!」


まあ、ゴブリンの言葉はわからんが、やはりゴブリンキングで間違いないだろう。


ゴギャ


ゴブリンキングのデカイ斧が俺を襲う。


剣で受けるが、重い。


流石にゴブリンの将。唯のゴブリンじゃないな。


まあ、身の丈が3m超えてるとじゃ、当たり前だが。


「うぉーりゃー!」


ゴブリンの斧を力尽くで跳ね除けると、ゴブリンは大きくのけぞった。


この体躯差で力負けするとは思わなかったのだろう。


悪いな。レベル254はだてじゃねぇ。ステータスは歴戦の冒険者並み、それに身体強化の魔法込みだ。今の俺はレベル99の勇者以上の強さだろう。


つまり、あのクソ勇者、エルヴィン以上ということだ。


「オラァー」


「ギャギャ!」


大きくのけぞったゴブリンを見逃す筈がなかった。


俺の剣がゴブリンの首を刎ねる。


ゴブリンの首が跳ね飛びコロコロと転がる。


大将の首が取られたことを知ると、ゴブリン達の敗走が始まった。


後々のことを考えると追撃したいところだが、とてもそんな体力はない。


「やりましたね。アル様!」


「ああ、ありがとう、1号、4号」


そして、2号と4号も俺のそばに寄り添って来た。


「流石アル様です」


「アル様、素敵です。私、アル様の2号さんとしての自覚が! 痛い!」


「だから、紛らわしいその言い方!」


ほんと、この子ら俺を社会的に殺す気か?


「アル様、酷いですわ。2号、ちゃんと意味わかってますわ」


「余計、悪いわ!」


「あら、そうするとわたくし、正妻ですか?」


「違―う!」


スライム1号が頬を朱に染めて物騒なことを言い出す。


もう許して、幼女の正妻に幼女の2号さんとか、俺を変態にしたいのか?


俺は女嫌いだが、子供は好きだし、そんな趣味ないからな、マジで。


「私は3号さん」


「あたしはアル様の4号、うっとり」


もう、ゆるちて。

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