第5話 スキル『レベルアップスライム』召喚

魔王アルベルティーナの弟子になったものの、ティーナはこの周辺の地理と出現する魔物の情報を教えてくれただけで、何も教えてくれなかった。


俺のジョブは放置プレイヤーだけど、放置されるの、俺なの?


とは言うものの、俺は勇者エルヴィンと幼馴染のクリスへの復讐のため、強くなるため、ティーナの小屋の近くの草原に来ていた。


魔物と戦って少しづつレベルアップする。継続は力なりだ。このダンジョンを単独で脱出できる頃には俺もかなり強くなっている筈だ。


とは言え、俺が勝てる魔物は雑魚だけだ。幸いこのあたりはキラーラビットという初級冒険者でも勝てる魔物の棲み処だ。。


「よし!! 早く強くなってエルヴィンやクリスを見返してやるぞぉ!!」


俺は自分に言い聞かせるように声を上げるとキラーラビットを探すため、足を進めた。


ちょっと歩くと、直に1匹のキラーラビットに接敵した。


「よし! 楽勝だ!!」


俺は後悔した。自分の発言を……


キラーラビットは攻撃力も防御力も弱い魔物だ。だが、俊敏で、倒すには骨が折れる。


最初は魔王からもらった無銘の剣で倒すつもりだったが、剣が当たらない。


そこで、スライムを召喚することにした。


「スライム召喚!」


4匹のスライムが召喚される。今の俺だとMPがキツイが、そうも言ってられない。


「「「「きゅぴぃぃぃぃーーー」」」」


4匹のスライムがキラーラビットの動きを牽制してくれた。


「今だ!!」


そして、隙を見せたところを剣で止めを刺した。


キラーラビットを剣が貫くと、見た目は可愛いウサギのような体が消えていき、中から銅貨と小さな魔物の核が出現した。


魔物を倒すと、お金や宝物、そして必ず魔物の核が手に入る。


そして一番大事なのが、経験値。


『経験値8が入りました。放置プレーヤーのレベルが7になりました。召喚魔スライムのレベルが4になりました』


「はぁ?」


今、スライムのレベルとか言わなかったか?


普通、使い魔のレベルって上がらないと思うぞ。


俺は疑心暗鬼で、次のキラーラビット2匹を倒した。


『経験値16が入りました。 放置プレーヤーのレベルが11になりました。氷魔法レベル1のスキルが手に入りました。召喚魔スライムのレベルが8になりました』


「う、嘘だろ?」


スライムのレベルが上がるなんてチート聞いたことないぞ。


スライムは弱い魔物だが、剣等の物理攻撃に強い性質を持っている。


その柔い身体が剣をぷにっと通さないのだ。


それに俊敏で攻撃力を身に付ければかなり強い魔物になる。


だが、俺はもっと重大なことに気が付いた。


キラーラビットの経験値は20だ。それをパーティメンバーで当分する。だが、止めを刺した者にはボーナスの2倍がもらえる。俺達の場合だと俺とスライム4匹で5人パーティ。止めを刺した俺は経験値8で、スライム達はそれぞれ4。


そして、これは冒険者なら誰でも知っていることだが、ソロで討伐すると全ての経験値がボーナスで倍になる。つまり、キラーラビットの場合、ソロで倒すと経験値は一人40なる。


一方、パーティで倒すと経験値はトータルで24しか入らない。


「これ、スライムもソロで戦ってもらったほうがいいよね?」


「「「「キュピーーーーン」」」」


スライム達が反応する。


「おっし、スライム達! キラーラビットを倒せぇ!」


「「「「キュイーーーン!」」」」


俺の命令にスライム達も嬉しそうな声を上げて、それぞれ四散してキラーラビットを探し求めた。


「よし、キラーラビット見っけ!」


俺がキラーラビットを見つけて倒そうとすると突然頭に天の声が聞こえた。


『召喚魔スライム1号がキラーラビット1匹を倒しました。経験値40が入ります。放置プレーヤーのレベルが14になりました。スライムのレベルが14になりました。火魔法レベル1のスキルを習得しました』


「えええええええ!?」


俺は驚いた。なんとソロの筈の俺にも経験値が入った。それも満額。


そうか、これが放置プレーヤーのスキルの力か?


この日の成果を言うと、俺だけで15匹のキラーラビットを倒した。


スライム達もだいたい15匹を倒した。計75匹。


僅か1日で俺は経験値40x75匹=3000の経験値を得た。


「すごい! このまま続ければアッと言う間にレベルの上限99になるんじゃないか?」


大喜びをしていると、また頭の中に天の声が聞こえて来た。


『召喚魔スライム4号がキラーラビット2匹を倒しました。経験値80が入ります。放置プレーヤーのレベルが30になりました。スライムのレベルが24になりました。土魔法レベル1のスキルを習得しました』


「俺のスキル、ぶっ壊れなんだが?」

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