2章 1年生 1学期編 高校生活と人助
第22話 プロローグ
◆
桜舞い散る季節4月、どの学校も会社も新しく新年度が始まるだろう、新入生だったり新社会人だったり、別れと出会いの季節ともいう。
そんな中、慎二も例外なく今日から初登校で高校への道を歩いていた。
「周りに歩いている人、全員仲良さげに話して歩いてるんですけど……朝から何か試されてるのこれ?」
そんな事を考えてしまうぐらい、周りに歩いている生徒は友人と歩いてるのだ、自分以外一人で歩いている生徒はいなく完全にぼっちと化していた。
おかしいと思うのは今日から慎二が登校する桜田高校に原因がある、この高校は中高一貫高校で普通と違く圧倒的に生徒数が多く、所謂マンモス校というものになっている為だ。
その為か大体の生徒が中学生の時に友人関係が構成されていて慎二一人だけの現状が起こるという事になっている。
慎二は自分が入る高校の下調べなどしなかった為、尚更今の現状がわかっていない。
「まあ、別にぼっちでも支障は無いんだけど話す相手一人は欲しいよね」
そんな愚痴を言いながらとぼとぼと歩いていた。
慎二が受けた高校は桜田高校といい、中高一貫校になっている、偏差値は高いが他の高校とは違う魅力があり毎年受ける人が多い、その理由が「クラス分けのシステム」があるからだ。
1年生から3年生まで、「A〜F」クラスに別れる、これは「A」クラスが1番頭が良い人が集まるクラスで、「F」クラスが1番頭の悪いクラスとなる、素行が悪いのが原因で「F」クラスになる人もいるそうだが、それは稀だという。
こう説明すると「A」クラスと「F」クラスだと「ただ頭の出来で決まるだけじゃ無いか?」と思われるかも知らないが、それは違う、「クラス」にもグレードが存在し「A」クラスが最新鋭な教室だとすると「F」クラスは畳と段ボールの教室となり、これ程までの格差がある、他にもあるがまずはこれを覚えとけば良い。
でも自分が思っていなかった「クラス」に入ってしまったり「クラス」を変えたいと思う人も出てくると思う、それを変えるのが「クラス分けのシステム」となる。
そんな「クラス分けのシステム」は年に3回ある「学力テスト」で決まり、「学力テスト」は4月・7月・12月に行われる事になっている。
この説明を聞いても「そのシステムいる?」と思う人がいるかもしれないが、これがかなり理にかなっているのだ、簡単に説明すると、「F」(下のクラス)の者が違うクラスに入りたいと思い勉強をしてクラス替えをしようとする、逆に「A」(上のクラス)の者がこれ以上下に下がりたく無いと勉強をする様になるからだ。
なので下の者は上へ、上の者は下にこれ以上下がらない為に勉強を頑張る、だから誰もが勉強を頑張るという状況になるのだ。
それで1番重要なのが新学期初めての「学力テスト」だ、これで自分が何処のクラスになるか決まるからである。
だが、こんなルールを知らない慎二は全く勉強などしていない、入学さえしてしまえばどうとでもなると思っていたからだ。
「やっと見えたけど、凄い生徒の量だから少し時間をずらした方が良さそうだね」
桜田高校の門は見えてもその先に人が沢山いる為、それ以上先には行けそうに無い。
暇になってしまったので周りを見ていたら、遠くから歓声が上がった、何かあるのか見て見たかったけど門の方だしそこまで興味が沸かなかった為、スマホを弄っていた。
その時、隣に来た生徒に話しかけられた。
「君はあの歓声が気にならないのかい?普通だったら近くに行って確かめたいものだと思うのだけど?」
見知らぬ生徒に話しかけられたけど、別にさっきの歓声はそこまで興味なかった為、どうでも良い様に返事をした。
「うん、別に興味ないからなぁ」
「そうか僕もそうなんだ!全くあの陽キャ共は揃って騒いで何が楽しいのかわからないよ」
いや、陽キャラ?に恨み持ちすぎでしょ!
「そんな君にシンパシーをもったよ。僕の名前は服部健太、君の名前を聞いても良いかな?」
まぁ、友達は一人でも欲しかったし仲良くしても良いよね?
「うん、僕は前田慎二、宜しくね!」
「こちらこそ、前田君だね宜しく!」
その後はこの高校について話したら、色々と知らない事がわかった。
教えて貰った内容で1番やばかったのが、この後「学力テスト」がある事だ。
「服部君、僕全然勉強してない、そもそもテストがあるのすら知らなかったよ」
「まあ、なる様になるとしか言えないよね、僕もやってないし」
いや、やって無いのかよ!なんでこの高校のルール知ってるのに勉強してないのさ!……それも気になるけどさっきから服部君がチラチラ女子のほう見てるんだよね、何見てるのかな?
「服部君さっきから何チラチラ見てるの?」
「な、何も見てないよ、おかしな事を言うね前田君は!」
完全に動揺してるんだよね、まあ今後わかるかな?
◆
少し打ち解けて来た時、前の門も人が少なくなって来たので自分たちも今から行う「学力テスト」のテスト会場に入った。
テスト会場は人が沢山いたが、空いている席を探してテストが始まるのを待った。
「今から、テストを始めます、カンニング行為を見つけたら失格とします、では初め」
その掛け声と共に皆一斉に問題用紙に取り掛かった、時間は50分で100点が満点になる。
そんな中、慎二は一問目で苦戦していた。
全くわからないんだけど、学生の頃の記憶なんてあるか!10年前だよ?覚えてる方がおかしいって!
もうこうなったらどうせ問題解けないんだし、名前書かないで出してやる!
「そこまで!テストを回収します」
いやもう、回収する時が一番恥ずかしかったわ、「なんでこの高校入れたの?」みたいな顔で先生に見られるんだよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます