エピローグ 君に逢いたい
「僕は、彼女と一緒にいて泣いたことは一度もない。だけど、彼女と再会できたら、僕は泣くと思う。それまで泣くのはお預けにして、僕は前相談役である鷹司様の推薦で彼の補佐官になった。四方院家の情報網と未来予知の占術の力を欲したからだ。相談役の地位を引き継いだ今も僕の目的は変わらない。すべては生まれ変わった彼女と再会するために。鳳凰は転生の力を持っているから、彼女に逢うまで何度でもやり直せる。すべては1人の少女のために……それが僕という人間の秘密だよ」
リオは言葉を選びながら尋ねる。
「つらく、ないのですか。その生き方で」
「そりゃあ……」
桜夜は満面の笑みを浮かべる。
――つらいさ
「でも幸い相談役の仕事は忙しいし、宗主やリチャード陛下はむちゃぶりをするし、君たちと交わした様に、約束も増えた。だから相対的に彼女のことを考える時間は減っていく。本当は一日千秋の思いで彼女を待つだけの日々を過ごしたいんだけどね」
「……1人に、ならないでください。あなたが楽しく過ごすことを、きっと、あずさ様だって……」
「そうだね」
桜夜は笑顔のまま天井を見上げる。その目はここではないどこかを見ているようだった。
(この心にぽっかりと空いた穴は、君と再会したら埋まるのだろうか? それともいつか他の誰かが埋めてしまうのだろうか。それでも、もう一度……)
――君に逢いたい。
to be continued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます