スキルをよみ解く転生者

59.規格外の仲間は規格外？

「色々とありがとうございました！」

「ミランダ様に、よろしくお伝えください」

私達は、宿に帰ることにしローランドさん達にお礼と別れの挨拶をした。

ローランドさんは穏やかな笑顔で返してくれる。

「またいつでも、いらして下さい。

ミランダからの通信の魔紙（手紙）にも、ウィルソールに戻ったらなるべく早くクリスディアに行くつもりだ。とも書いてありました。

直ぐにお伺いすると思いますので、こちらこそよろしくお願いします」

「そうなんですね！

では、“ クリスディアに来て下さるのを楽しみにしてます “ともお伝えください」

早く色々相談したいのよー！と思いながら、私は言った。

ヴィリスアーズ家から出発する時、クリスディアにも行く。と言ってはくれていたけど、本当に近いうちに来てくれるらしいので嬉しくなった。

ミランダさんには私の正体がバレてるので、今度会う時には色々本音で話せそうだし、ミランダさんとなら化粧品の知識について、やりすぎとか考えずに色々と話し合いたい！とワクワクした。

「ところで···」とギルベルトさんが話しかけてきた。

「化粧品のいくつかは、クリスディアに送るのではなく持っていかれると仰ってましたよね？

どれをお持ちになるのですか？」

「では、とりあえず私がお預かり致しますね」

と、リズが前に出て化粧品を次々に、マジック鞄（バッグ）へと、入れ始めた。

そうなのだ。先程、私は“ 一部そのまま持って帰りたい ”と言ったが、考えてみれば私達にはマジック鞄（バッグ）があったのだ！

私の鞄（バッグ）に入れれば？と思ったがこの量を自分で次々にしまうのは、貴族令嬢としてはしたないとかでリズがとりあえず、しまってくれた。

「···え？」

たがそれを見て、その場にいたローランドさん、ギルベルトさん、シエルさんの3人が、三者三様の様子でリズを見るが、共通点は・・・固まっていた。

ローランドさんは、ぽかん・・・とした様子。

ギルベルトさんは、良い笑顔で見つめ。

シエルさんは驚愕！！という様子だ。

「えっと···？頂いてよかったんですよね···？」

貰っちゃまずかったのか！？と、不安になり聞いてみると、私の声にハッとしたローランドさんが、取り繕うような笑顔で言った。

「は、はい。もちろんです。

ですが···こんなに大量の荷物を収納できる鞄（バッグ）を、初めてみました」

「······ええ！？」

リズはその場にあったローランドさんからの贈り物を全て、リズ自身のマジック鞄（バッグ）に収納していた。

ちなみに、化粧品だけでなく、

「よろしければコチラもご利用頂き、使用した感想を教えてください」と言われ、ドレッサーや装飾品まで色々とプレゼントしてくれたのだ。

なので物の量としては、本当にとんでもない量の荷物があった。

でも···私の、ではなくリズのマジック鞄（バッグ）なら、少し多いくらいで普通レベルなんじゃないの？

600万くらいなら、高いけどトラックを所有する感覚で、大店の商会なら持ってたりするんじゃない？？

···と、思っていたら、ギルベルトさんが教えてくれた。

2㎥以下の場合は金さえ払えば、簡単に手に入るがそれ以上になると、格段にレア度が上がるらしい。

そしてその便利さと希少価値から、一度入手した人はまず手放さない為に、3㎥以上になると入手がかなり困難になるらしい。

······え？リズさん？？

貴女のマジック鞄（バッグ）、5㎥って言ってましたよね？

改めて私のマジック鞄（バッグ）が規格外な事はよく解った。

ただそれは、規格外のオブシディアンが作ったんだから、しょーがないと自分を納得させた。

でもリズは、いつも自分は常識人！みたいにしてますが、貴女も···？？

私は常識を誰から学べばいいのだろうか？と、ちょっと不安になってしまった。

「ジルティアーナ様。

まだマジック鞄（バッグ）に余裕があるのなら、こちらもお持ち頂けませんか？」

「これ···っ！」

そう言ってギルベルトさんから渡された袋。

中を見てみるとそれは···記憶の中でジルティアーナがシャーロットの為に発明した、あのドライヤーだった。

「ジルティアーナ様もご存知ですよね？

貴女の妹であるシャーロット様がアカデミー時代に最優秀賞を受賞したドライヤーです。

シャーロット様が発明者との事で、実姉であるミランダ姉上が経営する、うちの商会で販売をさせて頂いているのですが···ミランダ姉上が発売当初、気になる事を言っていたのです」