52.地方都市ウィルソール
「すごーい!お店がたくさんあるね」
私達は昨夜、この地方都市ウィルソールの街に着き宿に泊まった。
そして次の日になり、こうして街に出てきたのだ。
昨夜、空からウィルソールの街を見た時も、ルセルの何倍もありそうな大きな街に驚いたが、昼間こうして街に出ると、活気が違い街の大きさの違いがよく分かった。
ちなみに、昨日の夕食と今朝の朝食は宿で頂いたが・・・ヴィリスアーズ家のものよりはギトギトでないだけマシだったが、美味しいものでは無かった。
本当にオリバーさんが専属料理人になってくれる事になって良かった・・・!と改めて思った。
私とオリバーさんの料理のせいですっかり食いしん坊になってしまったオブシディアンはウキウキで夕飯を食べたが・・・
その味に激怒してしまい、上級魔法を宿にぶち込む勢いだったのを抑えるのが大変だったりした。
「ココですね」
そう言ってリズが足を止めたのは、1軒のとても大きなお店。
白いレンガの綺麗な建物で、店先には花が並んでいる。
大きなガラス窓から中を覗くと洋服や化粧品等が並んでるのが見えた。女性向けの商品の店のようで中には上品な女性達が何人か居た。
いや、正確に言うと女性だけではなく男性もいるが、おそらくその男性たちは女性の連れの者だろう。
屋台等とはまったく違う、高品質なものばかり扱っているようだ。
わくわくしながら店内に入ると、さらに素敵な世界が広がっていた。
品質の良さが分かるレースや宝石など、華やかな装飾が施された洋服や小物が並んでいる。
パーティードレスの様な服も多いが、普段使い出来そうな洋服も並んでいた。
そこの一着に目が奪われた。
白と鮮やかなブルーが印象な膝丈のワンピースドレスだ。
スカートの前方部分には切り込みが入っており、そこから見える異素材の白いフリルが印象的だ。
フリルが付いていて、ジャケットの肩がパフスリーブになっているので華やかに見えるが、ワンピースの袖はすっきりしているので動きやすそう。
私の目線に気づいたリズが
「上級貴族のジルティアーナ様用では格が低すぎますが・・・」と小声で言いいながら、ワンピースドレスに近づく。
「でも、下級か中級のティアナさんになら、ちょうどいい服装かもしれません。
良かったら試着させて貰いましょうか?」
ーーーー・・・・・・
試着させてもらい、その姿をみた店員さんが声をあげる。
「とても、お似合いです!
着心地はいかがですか?」
「はい。とても良いです」
くるりと回ると、スカートの裾がひらめく。
スカートは布が重ねられてるので動きずらくないか心配だったが、驚くほど軽く伸縮性もあり動きやすかった。
「では、これを頂きましょう。
このまま着ていきますので、着てきた服を包んで頂けますか?」
「承知致しました」
リズから指示された店員さんが、私が着てきた服を持ってさがっていった。
「ティアナさんに気に入っていただける服があって良かったです。他にも気になる物があれば色々買って行きましょう」
「え、いいの!?ありがとうリズ!」
そのまま店内を見て、次に気になったのは・・・
「これって、化粧品よね?」
そこに並ぶのは化粧品のような色々。
化粧品や化粧水や乳液のような瓶もあるし、ファンデーションやリップのようなものもある。
「よろしければお試しになられますか?」
「お願いします!!」
デパートの美容部員のようなお姉さんが話しかけられ、食い気味にお願いした。
私がジルティアーナになった直後に思ったこと。
“ 痩せて、メイクしたらだいぶ印象がかわるんじゃないかな? ”
意図せぬ結果だが、1ヶ月間のギトギト料理のおかげで、ダイエットに成功?したので、フェイスラインは1ヶ月前よりだいぶシャープになった。
不健康なダイエットのせいで、肌や髪のコンディションは微妙だが、それは後々ちゃんと整えるとして、とりあえず見た目を良くする為には、化粧をすればかなり変わるはず・・・っ!
店員のお姉さんはクリップで、顔にかかる私の髪を止めると下地をー・・・としようとしたところで言われた。
「よろしければ、少し眉毛を整えさせて頂いてもよろしいですか?」
「あ。はい!よろしくお願いします」
小さなハサミと剃刀で眉毛をカットしてくれた。 恥ずかしい。眉毛さえ整えてなかったんだ・・・。私とした事が、メイクはメイク用品を持ってなかったから仕方ないにしても、それくらい自分でやっとけば良かった!!
と、いう私の心情はよそに、お姉さんは眉のカットを終えると、化粧下地を顔全体に塗っていく。
ーーメイクするのなんて久しぶり
・・・いや、ジルティアーナになってから初めてだ。
日本では毎日メイクをしていたのに、ジルティアーナになってからは全くしていなかった。
下地を塗り終え、スポンジでファンデーションを乗せ、のばす。
瞼にはアイシャドウを筆でのばし目尻をぼかす。
アイブロウペンシルで眉を描き、唇には薄い色の紅をひいてくれた。
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