悪魔と音楽の契約

 私に、ピアニストとしての才能がないことなどすでに気付いていた。それでも努力で乗り越えられる壁だと信じ続けていたが、もう限界だった。私のもとに悪魔が現れ、言った。「一番大切なものと引き換えに、音楽の才能をやる」ふたつ返事だった。私はピアノの才能を得た。指がないので、もう弾けないが。

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