「見ている神がいないなら、この物語は『 』です」 〜出会いと始まり〜

misaka

1章 運命、そして、物語の始まり

少年と決意

第1話 始まりの物語

 ”今”は、過去の積み重ね。

 何気ない言葉。

 何気ない表情、仕草、想い。

 

 全てが積み重なって今がある。

 その積み重ねをある人は人生と呼び、その少女は【物語】と呼んだ。


 そして、ある瞬間。

 誰かが誰かを選ぶとき。

 えてしてそこには、想いが募った物語があるはずで。




 『私はあなたに生きていて欲しい』


 自分を助けて瀕死となった少年を前に願う少女にも、当人しか知らない物語があって、想いがあった。


 かつては”神”という名の、人間を管理する、ただの世界のシステムでしかなかったとしても。

 今や、彼女には『シア』という名前があって。

 受肉して、人として生きてきた彼女にも、人間が言うところの感情――想いというものがあって。


 神々が受肉し天人あまひとと呼ばれ、人間と同じ世界で生きるようになった今。

 神々が人間を管理するために用いていた、技術として。

 また、人々の空想・想いを代行するシステムとして『魔法』があるのだ。


 「私の願いをここに――」


 雨に打たれ、冷え切った体。

 それでも想いを薪にくべ、少女は呟く。

 元神として。

 今でも、人間には操ることのできない、世界の理に干渉する。


 少女を中心に広がって行く、穢れ無き白。

 それは魔法と呼ばれる過程を経て、少女の想いを、願いを現実のものとする。


 これは、始まりの物語。

 人を襲って食べる『魔獣』が蔓延る、そんな世界で。

 自らに課された呪縛――【運命】に翻弄され、受け入れるだけだった少女が少年と出会い、運命を選び取る決意をする、そんな出会いの物語。


………

●次回予告(あらすじ)

 主人公、神代優かみしろゆうがまだ幼少の頃。魔獣を相手に苦戦する人類の前に突如として、光の柱が現れる。やがてそれがはじけた時、人類の前に“元”神が現れた。同時に人は、魔獣と渡り合う手段——〈魔法〉を手にすることになる。

(読了目安/6分)(「500文字/分」)

………

※各話の最後に次回の予告と読了目安を書いています。


※簡単に世界観を知って頂くため、別の企画で用意した

『【番外編・短編】常坂久遠(ときさかくおん)の場合』(https://kakuyomu.jp/works/16816927859845556463/episodes/16816927862221878038

があります。こちらを読んで興味を持って頂ければ、読み進めて頂く、というのもありかもしれません。



※こちらは以前の第1話です。

https://kakuyomu.jp/shared_drafts/uJ2S5bkRYkZmdmEwKcHea2VUWoQqScHY

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