⑫JK、キューピーの調教痕をみて絶句するのこと。
糺一はシャツのボタンを順繰りにはずしていった。
瀬乃はいぶかしげに糺一をみていた。
やがて彼女の口から声にならない悲鳴があがった。
糺一の上半身いちめんに幾筋ものみみず腫れが走っていた。
「それ」
糺一は瀬乃の手にしているエロ下着をみやりながらいった。
「それを履いていた女の仕業だ」
「なにそれ」
急に十歳も年老いたような声で、ようやく瀬乃はいった。
「どこのキ〇ガイが、あんたをこんな目に遭わせたの――?」
「わからない。たまたま電車で乗り合わせた、ボブカットの、毛皮のコートを着た女だった」
「どういうこと? ぜんぜんわかんないよ」
「こっちにもさっぱりだ。駅で降りてから延々とつけてきたんだよ。でも、こっちの勘違いかもと思ってはっきり確かめるためにデパートの男子トイレに逃げこんだら、個室の中へまで突入してきた」
「突入って、それで糺一さんはどうしたの?」
「いやもうビビってたんだよ、正直いって。あんな経験したことないから泡食ってるうちに手際よく頸動脈締めを決められて――」
糺一はそういいながら自分の首筋を指した。
「意識が遠くなって、次に目を覚ましたらどこかの薄暗い部屋の中でフルチンで手足を拘束されてるときた」
「部屋って、どこの部屋?」
「わからない――ただ、なんとなくトレーラーとか大型バンを改造したところだったんじゃないかと思う。露出もののAVとかでよく使う車だ。いやまあトヨさんは知らないだろうけれども」
「いや、知ってる」
瀬乃は即座にいった。
「観たこともある」
「そうか。それなら想像しやすいだろう。で、そこに現れたのが、その」
糺一は瀬乃の手にしている下着を指していった。
「それの持ち主が下着にブーツだけっていう変態スタイルで鞭をふるいはじめたわけだよ」
「あんたに? だからなんで?」
「なんでか知りたいのはこっちだわな」
瀬乃は下着を机の上に放り投げて、糺一を上から下までじっくりと視線をめぐらせた。
「糺一さん、あたしをかついでるんでしょ? 身内に仕掛けるドッキリ企画かなんかなわけだ?」
糺一は肩をすくめた。
「ああ、こっちも拉致られたときはその可能性を疑ったし、そう信じたかったし、ついでにいえばそう尋ねてもみた。でも――」
彼は自分のからだに残った鞭の痕をさすった。
「このひりつく痛みはとてもおふざけの産物じゃないわけで……」
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