キャンバス

興味が無い事だらけだよ

そう思われている事を

知っているのか知らないのか?


僕の見ていない前には

僕等より一段高い場所に立つ人は

誰もが僕等よりとても大人に見えた


真剣な顔に見える仮面でもつけているのか?

面倒だから見ない振りをしているのか?

僕等の事情心情など気にもしないで喋り続ける

僕等を置いて話続ける

そんな感じにさせられる


僕が見る前には

さっきから降る細かい雨を

太陽が照らしている


そんな僕等の興味を

惹こうとするかのように

大きな七色の橋を

窓の外に描き出した


僕は黙ってそれを見る

誰かは大きな声でそれを

誰よりも先に見つけたのだと叫ぶ


皆の興味は大人の話よりも

そっちに向いてしまうもので

窓を向く人に駆け寄る人

窓が作ったキャンバスは狭くなる


狭くなったキャンバスから

なんとなく目を逸らした僕


僕の見ない前に立つ人が

どんな顔してしているのかと気になった

話を遮った七色の橋に

嫉妬でもしているのじゃないかと

興味本位でそっちを向く


だけどその大人は窓を見ていた

誰にも気づかれないように

僕等と同じ瞳を見せていて

こんな僕でも何となく解ったのだ


僕等と大人の違いとか

決められた定義だとか

そういう理屈じゃない何かが

きっとあって


大人にならなければ

仕方がなかった何かが

あるのだろうと思った


僕の瞳はこの瞬間を描いた

窓の虹とクラスメートと先生が描かれた

この教室のこの瞬間を描いたのだ

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