第37話 ジョンバーン(2)
「カレン中尉、ミコト中尉、これを見てほしい」
小郡は、二人の顔を見た後、3D映像に映し出されたRC42に目を移した。
「これは前回、君たちと一緒に同期飛行を行った無人機アトラスⅣ型改だ。次のミッションでは、この機体を二四機一個編隊で自律航宙させるテストを行う予定だ」
説明すると二人を見た。二人の顔に変化が有ると思っていた小郡は、何も表情が変わらない事に内心驚いたが、そのまま
「二四機を六機ずつに編成してその先頭を二人のジュンとサリー四機でリードさせる。君たちは、ジュンとサリーに意思送ってほしい」
さすがにその言葉に二人は、表情を変えた。
「出来るかね」
ヘンダーソン中将の質問にカレンが
「分かりません」
一呼吸置くと
「今までは、私たちの意思をジュンとサリーが組み取ってきました。私たちが、あの子たちに送っていた訳ではありません。今回のテストでは、あの子たちがどう動くかは、全く想像できません」
その言葉に小郡は、苦り切った顔をすると
「小郡大佐、シミュレーションはしたのかね」
ヘンダーソンの言葉に
「はっ、大丈夫と思うのですが」
「思うのですが」
ヘンダーソンは、目をきつくして小郡をにらむと
「小郡大佐、すぐにシミュレーションレベルで二四機が自律航宙可能か否か確かめたまえ。実機は、まだ製造中だが、シミュレーションは出来るだろう」
「はっ」
と言って、敬礼すると
「それでは、早速シミュレーションの準備に入ります。私はこれにて説明を終わらせて頂きます」
3D映像を切ると一度ヘンダーソンに向かって敬礼した後、部屋の出口へ向かった。
実機テストで上手く行かなければ、あの二人をそのまま引きずり出そうと思っていたのにその考えが、上手く行かなそうになったことに小郡は、腹の中にしこりが有るのを感じた。
「小郡センター長は、まだシミュレーションをしていなかったのでしょうか」
アッテンボローの言葉にわからんという顔をするとヘンダーソンは、二人を見て
「実際、どうすれば、一個編隊飛行が出来ると思うかね。難しい質問だが、これを実現したい。君たちの将来の為にも」
本当に尋ねる視線を送った。
「ヘンダーソン司令、私たちが二四機の先頭を航宙するので有れば、今まで通り飛行可能と考えます。
しかし、ジュンとサリーが、私たちがいない時、どの様な挙動にでるか、想像できません。申し訳ありませんが、解らない事には答えようがありません」
ミコトの言葉に考えた顔をすると
「分かった。その通りだろう。今日は、もう下がっていい」
「「はっ」」
敬礼をしている二人に
「二人とも先に戻ってくれ。私はヘンダーソン司令ともう少し話がある」
二人が出口から出て行くのを見計らって
「小郡大佐の思惑。腑に落ちません。何か別の考えが有るような気がします」
「私もだ」
『ミコト、何か面倒なことになりそうだね』
『うん、小郡大佐、最初から僕たちを先頭で飛行させる事を考えている様な気がしたけど
私もそう思う』
『実際、私たちがいない時、ジュンとサリー上手く航宙出来ないと思う?』
『そんなことある訳ないよ。でもカレン、上手く言ったね』
『ミコトだって』
他の人には、聞こえない会話をすると並びながら歩いている二人は少しだけ微笑んだ。
すれ違う士官が、自分に微笑んだと思って顔を赤くしているのを見ると、今度は本当に目元を緩ました。
二人で歩いているとスカートとスラックスの違いが有るとはいえ、本当に目を引く。胸元にある二つの輝いている徽章、中尉とフレイシア航宙軍航宙戦闘機乗りトップパイロットがなければ、声を掛けられても本当におかしくない位、可愛くそして綺麗だ。
二人は、基地内にあるレストランおいしいレストランで食事をしているとレイとサキが近寄って来た。
二人であれっと顔をすると
「カレン、ミコト、色々ありがとう。やっぱり無理しないで普通に二人でいれる時はいることにした」
サキが微笑むと僕達も
「「そう」」
ハーモニーして微笑んだ。
「ところで青山ツインズ、聞いたけど」
小声になるとレイが
「ラインの航宙機編成が変わると聞いた。無人機アトラスⅣ型改(RC42)が、二四機積み込まれるそうだ。
搭載機数二一〇機の内、有人搭載機アトラスⅢ型が二四機他の艦へ移る。ちょうど一中隊だ。実はその中に僕たちも入っている」
「「えっ」」
「知らなかったのか」
「いや、航宙戦闘機の編成が変わるのは知っていたけど、レイやサキがラインを移動するとは知らなかった」
「そうか」
「今度ラインのパイロット達が、壮行会をしてくれる。来ないか」
二人が少し気まずそうな顔をすると
「そうだよね。出される二四人の原因を作った本人たちだもんね」
サキのきつい言い方に
「サキ、どういう意味だ。カレンやミコトは、全く関係ない。航宙軍の方針に沿って一生懸命になっている二人に失礼じゃないか。それに僕達より上だぞ」
レイの本気になって怒っている顔に、今度はサキが気まずそうな顔をすると
「レイ、気にしなくていいよ」
ミコトが言うと同時に二人は席を立った。
「ごめん」
誤るサキを振り返らずに僕達はトレイを持ってカウンタに歩いて行った。
いつもならボーイに片付けさせるのが普通だ。後ろでレイがサキに怒っているのが聞こえる。
「ミコト、官舎に帰ろう」
「うん」
レストランを出て、基地のゲートまで歩くと自走エアカーに乗った。
上級士官用に用意されているビルの入口について中に入るとミコトはエレベータに乗り五階のボタンを押した。
五階二号室のドアを開けて中に入るとボイスコムのランプが点滅している。ディスプレイを見ると久山中尉よりと表示されている。
「あっ、久山さんだ」
カレンが、ディスプレイの名前の所にタップすると
お疲れ様、カレン中尉、ミコト中尉、明日基地に着いたら、私の衛生管理室へ来て
そうメッセージが残っていた。
「ミコト何だろう」
「分からない」
カレンはメッセージを削除するといきなりミコトに抱きついてきた。心臓の鼓動が少し早くなっている。
「カレン」
ミコトがゆっくりとカレンの背中に腕をまわした。
「大丈夫。いつも二人でやってきたじゃないか」
「うん、でも」
ミコトの頬に自分の頬を付けながら
「ねっ、今日いいでしょう」
と甘えた声を出すとミコトは
「うん、いいよ」
普段、他の人の前では姉であるカレンがリードするが、部屋に帰るとミコトに甘えるのである。
シャワーを浴びた二人はミコトのベッドに入ると体を寄せ合った。カレンの胸がミコトの胸に当たると
「カレン大きくなったな」
「うん」
カレンがミコトの目を見ながら
「いいのよ」
「いいよ」
心臓が同期をとって鼓動している。ミコトの首に腕を巻きつけながら
「私、ミコト以外だれも好きにならない。ずっとミコトのそばにいる」
「カレン、それはだめだよ」
「でもミコトも私以外の人好きになれるの」
「それは無理だけど」
「じゃあどうするの」
カレンの甘えに受け答えしながら目をつむるといつの間にかミコトから眠りの息遣いが聞こえた。
「ミコト」
少し目元を緩ませて頬を寄せる。自分もいつの間にか眠りに就いた。
小さい頃からどちらかが不安になったり、寂しくなるとこうやって寄り添って寝ていた。こうすることで心が安らぐのだ。
―――――
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
ここは面白くないとか、ここはこうした方が良いとかのご指摘も待っています。
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