第25話
「流石火山入っただけで汗が止まらないです」
ダンジョンに入った瞬間、熱気が押し寄せて来て俺以外の人は全員暑そうにしている。
「砂漠用の冷気が出てくるマントがまるで役に立たない。いや、マントのおかげでこの程度で済んでいるのか?」
火山に行くんだから、暑さ対策をしなくちゃ行けないのは当然なので、事前に砂漠が広がっているダンジョンに挑む時用のマントを買ってきたんだけど。
火山の暑さには対応しきれないらしい。
付与を1度解除するにしても解除した後に付与をかけるのに消費する魔石が無いし。
厳密に言えばレッサードラゴンの魔石は持ってるけど。流石にこのマントに使うのは勿体ない。
「何か魔物を倒して魔石を手に入れたら、その魔石を使って付与をかけ直しましょう。ドロップするのは火の魔石でしょうから、冷やすのに使うには相性最悪ですけど。今の効果より高いものを付与できる筈ですから」
ここは火山だし、ドロップする魔石は火がほとんどで、他にドロップしたとして地か無属性ぐらいだろう。
冷やすのと相性のいい水の魔石なんて絶対にドロップしないだろうな。
「流石にこれじゃ30分もダンジョン内に入れないからね。ぜひお願いするよ。ミラわかってるね。1秒でも早く魔物を見つけて!」
暑さからかエマ先輩のテンションが少しおかしくなっている気がする。
「もうやってるよ。私だって暑いの嫌だし。いた!あっちー」
ミラ先輩がビシッと指を指した方向に魔物がいるらしいのでそちらに向かって歩き出した。
「それにしてもレッカさんは全然大丈夫そうですね?どうしてですか?」
メンバーの中で唯一、汗もかかず余裕そうにしている俺に疑問をもったステラさんが質問してくる。
「多分だけど【炎神の寵愛】のおかげだと思う。それ以外に大丈夫な理由無いし」
あー子様から暑さに耐性がつくとは説明されて無いけど。それぐらい余裕で付いてそうだし。
理由を聞いて全員納得したような顔をしている。
「あれですかね?」
ミラ先輩を先頭に魔物に向かって歩いているとヒョウ柄をしたネコ科っぽい魔物が見える。
「ファイヤーオセロットですかね?すばしっこくて、鋭い牙と爪を使って攻撃してきます。あと、爪は常に熱を持っていて触れると火傷するらしいです」
つまり爪で引っかかれると切り傷に火傷までしてしまうと。
それとオセロットって群れる動物だったけ?
地球のオセロットとは別物だし。魔物だから色々違うんだろうけど。
魔物を倒せば魔石が確定で手に入る訳じゃないし、数が多い方が今は助かるけど。
「本当はエマ先輩にショットガンの威力を体験して貰いたかったですけど。今回は取り敢えず俺が倒しますね。ミラ先輩一応確認ですけどオセロットの近くに人いませんよね?」
今から爆撃をおこなうつもりなので、もし人が近くにいると大変だ。
Lv8ダンジョンに挑戦しようなんて人いないって話だからいないとは思うけど。
「人の反応はしないけど。えっ!もしかしてこの距離から攻撃する気?」
ミラ先輩も人の反応しないって言ってるし派手に爆撃してしまおう。
魔法でミサイルの形をした火を作り出してオセロットに向かって発射。
直ぐにオセロットがいた場所に着弾して爆発する。その後も何発か撃ち込んでもう良いかなとミサイルを撃ち込むのを辞めると、目の前にオセロットの爪や毛皮 、火の魔石が出現した。
「素材がドロップするタイミングってどうやって判断してるんだろう?」
基本戦闘が終了すると倒した人に前に現れるようになっているらしい。
戦闘中に素材がドロップしたら邪魔だから有難いけど。誰が戦闘終了を判断してるんだろうってちょっと気になる。
「そんな考えても答えが分からないようなこと考える前に早くマントの付与をつけ直してお願いだから!」
ミラ先輩にそう言われて魔石を押し付けられたので、ステラさんから冷気の付与をつけ直して行く。
ステラさんは婚約者だし。もちろん1番最初。
何となくミラ先輩を最後にした方が面白い気がしたので、ステラさんの後はエマ先輩→ミラ先輩の順番でマントの付与をつけ直した。
なんで!とミラ先輩が発狂してたけど。なんとなくですと流しておいた。
思った通り中々いい反応をしてくれる。
「あ〜さっきまでが嘘みたいに快適。涼しいまでは行かないけど。暑さをほとんど感じないし」
流石にLv8ダンジョンでドロップしたとはいえ、火の魔石なので火山にいても汗ひとつかかないレベルの効果を発揮することは出来なかったけど。
ちょっと暑いな〜ぐらいで済むようになったようだ。
「暑さを全く感じない訳じゃないけど。このぐらいなら全然耐えられるし。凄いねレッカくんの付与!ランダムスキルダンジョンってLv1からそんなにいいスキル出ることあるの?」
まぁそこ気になるよね。明らかに俺が挑戦してるランダムスキルダンジョンのLvで手に入るスキルの威力じゃないもんね。付与の効果が。
「ランダムスキルダンジョンって確率でエクストラダンジョン見たいのが出現するんですよ。難易度が高い代わりにクリアするといいスキルが手に入るんです」
まぁ隠す必要も無いだろうと正直に伝える。
「付与はエクストラダンジョンで手に入れたスキルという事ね」
全員暑さに耐えられるようになったので次の魔物に向かって移動をかいしする。
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