第10話 私はどうやって理解しているのか。
言語の勉強の中で、「文脈で伝わるから、小さなミスは気にしなくて大丈夫。」
という話をよく目にする。
私も、そう思って過ごしている。しかし、先日、一文字の違いでずいぶん意味が変ってくるおもしろい会話があった。
以下は日本語での会話だ。
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王さんが数日前から休んでいた。
朱さんが理由を教えてくれた。
「王さんは自転車で事故。けんかする。病院行く。」
私はシャドーボクシングをしながら朱さんに聞いた。
「ん!?王さん喧嘩したの?なぐられたの?」
王さんはおだやかな雰囲気の人だから、ちょっと信じがたかった。
朱「ちがう。けんかしない。おうさんけかした!」
朱さん、ここで筆談モードに入る
× けんか
〇 けか
私「あー。怪我(けが)かぁ。”か”には点々がいるんだよ。けが。王さんけんかしないよね。」
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「けんか」と「けが」は確かに音の高低もよく似ている。というか同じなのかな?
早口でしゃべるとけんかの「ん」はほとんど聞こえない。
NHKのアナウンサーに早口で「Aさんは、じこにあいました。けがをしました。びょういんにいきました。」と言われても、聞き分けられないかもしれない。
けれど、これまで日本人同士の会話で、けんかとけがを聞き間違えたことはない。普段ならどんな風に話すか想像してみた。
怪我の場合なら・・・
「Aさんさ、自転車に乗ってて事故にあって、けがして病院に行ったんだよ。」
喧嘩の場合なら・・・
「Aさん、自転車で事故にあって。頭に来たんだろうね、相手と喧嘩して病院に行ったんだよ。グーでなぐられたらしいよ。」
事故→怪我→病院は自然な流れ。
事故→喧嘩→(怪我)→病院は驚きの展開。だからいくつか説明の言葉を入れるにちがいない。もし、いつもからけんかっぱやい人だったら、「あの人らしいけど」とか「いつものことだけど」とかそんな言葉を入れるだろう。
そういう、自分の感情や追加的な情報が聞き間違いを減らしているんだろうな。
ネイティブらしい「発音」や「言い回し」といった本を買おうかと思っていたのだが。
私は、より伝わりやすくするために、とにかく多く情報を話す(文章数を増やす)ことをしばらく試してみよう。
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