第6話 感想を述べるだけ
「おい…こんなに貰っていいのかよオッサン…」
「もちろんいいさ。これはアルバイト…『レストランの試作品を食べて感想を述べるだけ』のお仕事だから」
最近、出席番号三番の
放課後、彼は部活に行かずすぐに帰ってしまう。
それも、なにか好奇心や喜びに満ちた笑顔で走って学校を後にする。
あいつは平林を屋上から飛び降ろさせたうちの一人だが、まだ謝罪に応じては無いらしい。
てか、誰一人として謝りに行こうとはしないそうだ。
次の日、飯田は学校に来なかった。
担任、池上先生の話によると、彼は昨晩家に戻っていないらしい。親も警察総出で探しているそうな。
「今日はこの試作品を食べてもらいたいんだ。あと、給料は増やすからコレもお願い出来るかな?」
「もちろん食べます‼︎」
飯田は追加された皿に盛られたチャーハンを口に掻き込んだ。
この時、午後七時ちょうどだったのだが、その時刻が彼の死亡時刻だった。
「…ダメだよ飯田くん、金に踊らされてこんな怪しいバイトなんて始めちゃったら。まだ中学生なのに、残念だね」
捜索は簡単に終わった。
犯人は大手レストランのチェーン店で店長を務める者だったのだが、彼の部屋からは大量の薬品や道具、そして浴槽の汚水に浸かった飯田が発見された。
犯人は犯行について、『毎日毒の材料になる人体的に害の無く、消化されない薬品を一種類ずつ混ぜていき殺した。この子を殺すのが待ちきれなくて最後の二皿をまとめて出した』と述べた。
この件について、不可解な点が一つ。
『人体に無害な消化されない毒薬の材料などこの世には存在しない』
彼の体からは毒の反応が出たのだが、何故彼は今まで死ななかったのだろうか。
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