33P ダエーワ

ダエーワとは、ゾロアスター教に登場する、地獄で亡者達を苦しめる邪神達の総称である。絶対悪の創造神【アンラ・マンユ】に率いられており、様々な姿をしている。その中核となる七大魔王の内、アンラ・マンユを除く六体が人間界に16の災難を振り撒く。その六体の魔王を、今回は紹介しようと思います。


1.アカ・マナフ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈悪しき思考〉を意味する邪神。


 人の隙をついて憑依し、善悪の判断を不可能とし、常に間違った判断をさせるよう

 にする。ゾロアスター教の開祖【ザラシュストラ】の前にも現れ、悪の道へと引き

 ずり込もうとしたこともある。ゾロアスター教の善神or上級天使群【アムシャ・ス

 プンタ】の、その名は善い思考を意味する【ウォフ・マナフ】と敵対する。


2.ドゥルジ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈虚偽〉を意味する邪神。不浄の概念と結び付けられ、〈ドゥルジ・ナ

 ス〉と呼ばれることもある。なお、ナスは死体を意味する。


 複数の女悪魔と考えられており、アルズーラ山峡にある地獄と繋がる洞窟から、蠅

 の姿で飛んで来ると言う。そして、腐敗した死体を温床とし、世界に不浄を撒き散

 らす。また、伝染病を媒介し、死を広めるのも彼女の役目である。アムシャ・スプ

 ンタの、その名は最善なる天則を意味する【アシャ・ワヒシュタ】と敵対する。


3.サルワ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈無秩序〉を意味する邪神。〈サウルウァ〉とも呼ばれる。


 人々に弱肉強食等の考えを植え付け、世界の秩序を破壊することを使命としてい

 る。また、サルワはヒンドゥー教やインド神話における破壊神【シヴァ】のゾロア

 スター教での姿とも言われている。アムシャ・スプンタの、その名は〈望ましき王

 国〉や〈良き統治〉を意味する【フシャスラ・ワルヤ】と敵対しており、最後の審

 判で彼が操る灼熱の溶鉱によって焼かれると言う。


4.タローマティ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈背教者〉、もしくわ〈憶測〉を意味する邪神。


 人々の心を操り、信仰心を疑わせ、災いをもたらす。善人でも詐欺師や盗人等の悪

 人に仕立て上げる。しかし、「アルヤーマー・イシュヨー」と言う詩や病気に対抗

 する聖なる呪文に弱く、唱えられるとたちまち退散するとの事である。その名は

 〈神聖なる敬虔・献身〉、〈心に従う者〉を意味する【スプンタ・アールマティ】

 と敵対しており、最後の審判で善が勝った後、タローマティは彼女に従うと予言さ

 れている。


5.タルウィ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈熱〉を意味する邪神。


 熱や暑さを操る事が出来、渇きの邪神【ザリチュ】と共に人間界の作物や薬草等の

 有用植物を枯らし、灼熱の大地に変えようとする。さらに、熱病等を起こす事も出

 来る。また、毒草の創造者とも言われており、植物を滅ぼした大地に自身が作った

 毒草を埋め、人々を病気にする。その名は〈完全〉を意味する水の守護者【ハルワ

 タート】と敵対しており、日々激しい戦いを繰り広げている。


6.ザリチュ

・出典

 アヴェスター

・概要

 その名は〈渇き〉を意味する邪神。〈ザリチェ〉とも呼ばれる。


 熱の邪神タルウィと共に干ばつや日照り等の異常気象を起こし、自然界の植物を枯

 らす。そして、タルウィが埋めた毒草を成長、蔓延させ、人々を苦しめる。その名

 は〈不滅〉を意味する植物の守護者【アムルタート】と敵対しており、日々激しい

 戦いを繰り広げている。

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