26P フェンリル

・分類

 魔獣

・出典

 北欧神話

・概要

 北欧神話に登場する巨狼。悪戯好きの邪神【ロキ】が女巨人【アングルボザ】との

 間に儲けた、或いは彼女の心臓を食べて、女に変身して産んだ怪物三兄妹の長子。


 口を大きく開くを上顎が天に届く程巨大な狼の姿をしており、目と鼻から火を噴

 く。


 元々は普通の狼と同じ姿であり、軍神【テュール】によって餌を与えられていた。

 しかし、日を重ねるごとに大きくなり、力を増してきたのと、予言はいずれも彼が

 神々に災いをもたらすと告げた為、神々はフェンリルを拘束しようとした(それで

 も災いはもたらされたのだが・・・)。神々はフェンリルを拘束する為にレージン

 グと言う鉄鎖を用意したが、彼はこれを容易に引き千切った。続いて、神々はレー

 ジングの2倍の強さを持つ鉄鎖、ドローミを用いたが、これもフェンリルは難なく

 引き千切った。そこで神々は、ドワーフに作らせた、猫の足音、女の顎髭、山の根

 元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液を材料とする魔法の紐【グレイプニル】を使っ

 てフェンリルを用いることにした。


 アース神族は、【アームスヴァルトニル湖】にある【リングヴィ】と言う島で、紐

 が見かけよりも強いことをフェンリルに示し、試しに縛られるように彼に勧めた。

 フェンリルはこの紐も切れないようなら神々の脅威たり得ないから解放すると言わ

 れたが、一度縛られたら助けを得ることは難しいと考え、約束が間違いなく行われ

 ると言う保証として誰かの右腕を自分の口に入れることを要求した。そして、フェ

 ンリルに餌をやっていたテュールが進み出て自身の右腕を彼の口の中に入れた。


 縛られグレイプニルから抜け出せないことに気付いたフェンリルは、テュールの右

 腕を手首の関節のところで食いちぎったが、神々は素早く【ゲルギャ】と呼ばれる

 足枷から綱を伸ばし【ギョッル】と言う平らな石にフェンリルを縛り付け、石を地

 中深くに落とし、【スヴィティ】と言う巨大な石を打ち込んで綱をかける杭にし

 た。フェンリルは暴れてこれを噛もうとしたので、神々は下顎に柄が上顎に剣先が

 くるように剣を押し込んでつっかえ棒にした。開きっぱなしになったフェンリルの

 口から大量の涎が流れ落ちて【ヴァン川】と言う川となった。


 そんな、可哀そうなフェンリルであるが、神々と巨人族達の最終戦争【ラグナロ

 ク】の時に解放され、戦いの場【ヴィーグリーズ】に進む。そして、北欧神話の最

 高神で、死、戦争、魔術の神【オーディン】を飲み込む。しかしその直後、彼の息

 子【ヴィーザル】によって殺された。

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