010.冒険者ギルドみたいです。
ギルドホールの2階ですか・・・ギルドマスターの部屋に行くようですね。
「ギルマス、入りますね。」
あ、中に入るようです。ついて行きましょう。やたらゴツい体してますね・・・動物園に行ったらお会い出来そうな・・・いや、別にゴリラに似ているとかそんなこと思ってません・・・あ、目が合いましたよ・・・ヤバいですね。
「とりあえず座ってくれるか。」
執務室って感じですね。一応応接セットなども置かれてるのですね。遠慮無く座らせてもらいましょう。アヤハは私の後ろに立っているようですね。隣に座ってくれてもいいのに。少しずつ教育しましょう。
「それで、何かご用でしたでしょうか?」
早くカードをもらって宿を取りたいのですが・・・
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
なんですか、この嫌な間は・・・何かしゃべってください。空気が重いです。
「お前等、何もんだぁ?こっちの小っちゃい嬢ちゃんは無属性ながらとんでもない魔力量だし、そっちの嬢ちゃんは全属性持ちだと?お前等ほんとに人間かぁ?」
「何言ってるんですか、私は人間ですよ。」
さすがに怒りますよ、こんなゴリラっぽい人にそんなこと言われるなんて心外です。
「嬢ちゃんみたいな人間がいないとは言わんが、ごくごく稀だ、それが2人して来るなんざおかしいと思うだろうよ。」
「そんなこと私の知った事じゃありませんよ。それより、登録は出来るのですか、それとも出来ないんですか。」
「もちろん登録は出来る。だがその前に嬢ちゃん達の素性が知りたい。魔力の件だけじゃねぇ、その装備にしろ普通じゃないからな。せめてどこから来たくらいは教えてもらえんだろうか。」
う~ん・・・どこから来たかですか・・・「消防署の方から来ました。」は通用しなさそうですね。どうしましょう・・・とりあえずはだんまりでしょうか・・・
「・・・・・・・・・・」
「言いたくない、いや、言えない事情でもあるのか・・・」
ボリボリ髪の毛を書いてますね、ふけが飛ぶからやめてくれませんかねぇ・・・
『お母様、お困りでしたら排除しますがどうしましょうか。』
ちょっ・・・排除とか怖いこと言いますね。そんなことしたらこの町にいられなくなりますよ。
「アヤハ、それはダメです。しばらく大人しくしてなさい。いいですね。」
あ、少し強く言ったらしゅんとしちゃいましたね。後でちゃんと言って聞かせましょう。
「おい、今そっちの嬢ちゃんがおかしな事言わなかったか?なんで小っちゃい嬢ちゃんが母親なんだ、妹って言うんならわかるが・・・」
「あっ、えっと・・・」
まずいですね。なんて説明しましょう。思い浮かびません・・・ギルドマスターも受付の人もこっち睨んでますよ。そりゃそうですよね、怪しさ満点ですよね。アヤハのことだけでも説明しましょうか・・・
「えっとですね、なんて説明したらいいんですかね・・・その・・・」
「それも、言いにくいことか?」
「ええ、まぁ・・・」
何か秘密が多くなりすぎて心苦しくなってきました。話しちゃっても大丈夫ですかね・・・
「ここ、冒険者ギルドって所は個人情報ってどうなってます?」
「個人情報か、まぁ、それぞれ秘密の1つや2つあるだろうしな。ギルドとしてその情報を他に漏らすことはないぞ。」
「そうですか・・・ではいくつかはお教えしますけど、信じるかはお任せしますよ。」
何処まで話しましょうか。転生の話はしない方がいいでしょう、後々問題になりそうなアヤハのことだけ話しておきますか。
「では、アヤハとの関係だけお話ししておきますね。」
「おう、なんで小っちゃい嬢ちゃんが母親かって事だな。」
「まずは私の職業?スキルからお話しした方がいいでしょうか。」
「特殊なのか。」
「さぁ、他の人のスキルをよく知らないので特殊かどうかは分かりかねますね。私のスキルは<ドールマスター>と言います。」
「<ドールマスター>?聞いたことがないなぁ。」
「簡単に言ってしまえば、人形を作るスキルですよ。そのスキルで作ったのがアヤハです。生みの親って事で母親ですね。」
「な、その嬢ちゃんが人形って事か・・・信じられん・・・」
ああ、やっぱり驚いてますね。私もアヤハが出来上がったときは驚きましたから。あまりに自然で綺麗だったから。
「信じるかどうかはお任せしますよ。アヤハが普通と違うのは人形だからって事で納得して頂けるとありがたいです。」
「う~ん、正直信じられんってのが本音だ。だが、無理言って話してもらったこともあるしな・・・」
「で、アヤハが人形って事でもギルドカードってもらえるんですか?」
ここからが問題ですよ。アヤハが人間じゃないからギルドカードがもらえないって事になれば、所持品って事になりますからね。面倒が増えます。最悪アヤハだけ商業ギルドで登録って事も有りですね。
「そうか、そうだな・・・そっちの嬢ちゃんが人形って事だとギルドカードのことが出てくるのか・・・それでも、魔力が存在していて読み取りは出来たんだよなぁ。」
もう一押しすればギルドカード発行してくれますかね。
「さっきまでアヤハのことを人間だと思ってたんですよね。その、登録する水晶にも反応したんですよね。だったら・・・」
「ああ、分かったよ。特別だからな。それとそっちのお嬢ちゃんが人形って事はしばらく秘密だ。それでいいか?」
「えっと、ちょっとだけいいですか。」
「なんだ、まだ何かあるのか?」
「あと2回ほど登録に来ると思うんですけど、いいですか?」
まだアヤハの妹達を作らないといけませんからね。ここで残りのギルドカードについても話を通しておきましょう。
「あと2回ってその嬢ちゃんみたいなのがまだいるって事か?」
「まだいるって訳じゃないですよ。これから創るだけです。とりあえずはあと2人。なのでその時も登録してもらえると嬉しいなぁ~って。」
今回だけ特別ってのは無しにして欲しいですよ。次からもお願いしたいですから。
「わかった。ただしその時は窓口での登録は無しにしてくれ。俺か、そこのアリスに直接話を通してもらえるか。他の受付が騒ぐと面倒だ。」
「分かりました。ギルドマスターを直接呼びつけるのは気が引けますのでアリスさんを呼ぶことにしますね。」
「では、これから私がカオリさんの専属受付をさせて頂きますね。宜しくお願いしますね。」
アリスさんが専属ですか。面倒が減っていいかもしれませんね。
「ではアリスさん、よろしくお願いします。」
この後やっとギルドカードを手に入れ宿屋を探しに行くことになりました。確か「小熊亭」とか言ってましたっけ。探しに行きましょうか。
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