第3話 プランH

10月某日

テレビあさひ 編成会議にて


編成局長の田辺が開口一番テンション高めに口を開いた。


「皆さん、今期はよくやっている。9月はひのまるテレビを抑えて3冠を奪取した。もともと得意の報道とバラエティーが確実に視聴率を稼いでくれた。ありがとう。」


「また、ドラマ部門も米田律子さん主演の大人気シリーズ『ドクターXYZ』を

10月から投入したので下期3冠を狙います。」


「もちろん、来期に向けてもこの攻勢を継続すべく、来春に向けては水山豊さんの『相方』を投入するので担当は早々にブッキングを開始しろいいな。」


担当の坂井プロヂューサーは、恐る恐る発言した。

「あのおー、田辺局長、実は主演の水山豊さんの事務所から昨日連絡がありまして、水山さんが来年の7月までオフを取ってらっしゃいまして、すでにオーストラリアにバケーションに入ってるみたいなんですよ。10月編成には間に合うんですが

春は難しいですね。」


「何だと、本当か。うちはドラマが元々弱いからなあ。じゃあ、仕方ないプランHで行こう。出来るだけ安く上げろよ。」


プランHとは『敗戦処理』の業界用語で、しばしば予算が無い時や、大型番組を改変期をつなぐために低予算で作られる番組のことをいう。


その頃、ソニー・ミュージックエンタテインメント SNS事業部(以下SME)では、、、


「ユウト、女スナイパーめっちゃバズってるやん。もちらん賛否はあったけど、

最終的には賛が多かったし、それにアメーバTVの林さんから聞いたけど

100万ビューワー突破して歴代のドラマ部門での新記録って言ってたわ。」


「シロー先輩、言い過ぎですよ。主演のヒロセカンナちゃんが

今回メチャクチャ可愛く映ってたからですよ。たまたまですって。」


石原のツイートによって、当初はこのドラマが炎上していたが、ヒロセカンナちゃん

人気もあり、段々と

『斬新なエンディング』

『新しいドラマのスタンス』

『今後のスタンダートになる』等の称賛の声が日増しに多くなっていった。

また、ビデオオンデマンドなので見逃した人も視聴できたので更に勢いが増していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る