水面、清流 (短文詩作)

春嵐

水面

 水面を見るたびに、彼のことを思い出す。

 清流のような、濁ったもののないひとだった。そして、そのためにこの街を出ていった。

 こうやって眺めていても、彼は帰ってこない。だけど。眺めていたい。いつか、もしかしたら、また声をかけてくれるかもしれない。そんな淡い期待と共に、まだ水面を眺めている。

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