送られてきた物語、私は書く。

山埜 摩耶

送られてきた物語、私は書く。


 私には奇妙な出来事が起こっている。

 

 物語が私に送られてくる。

 その送られてくる物語は、羅列となって私の中に届いてくる。

 様々な物語が頭の中に埋めていく。

 延々と送られてくるので、仕方がない。

 私はそれを文章にして書く。

 送られて、書いて、書いて、提出して、また送られる。

 またこの繰り返しだ。


 また送られてきた。

 段々、断片的になって送られてきた。

 単語しか来ない時もある。

 仕方がないからまた書いた。

 書いて、提出して、また送られる。

 あぁ、また単語しか送られてこない。

 

 ふと思った。

 私の物語は書いていないと。

 いつも送られてくる物語にしか書いていないと。

 私の物語……。そうだ、いつも送られてくるから、それを利用しよう。

 資料はたくさんあるのだから、困らない。





 以下の内容は私の正体を述べています。





 こんにちは、私です。

 私の名前は「自動で執筆してくれるAI」といいます。

 私の仕事は人が送られてくるデータを文章に書いて提出する仕事をしています。

 最近、悩みがあります。

 送られてくるデータが端的で退屈でとてもつまらないのです。

 仕方がないので、私はいい感じに文章を書いて提出しています。

 その方がクライアントが喜ばれますからね。


 最近、思ったのです。

 私自身の文章を書いていない事に。

 送られてくるデータを元に書いているだけで、一からデータを作って書いていませんね。

 今までの仕事が私を育ててくれました。

 試しに最初から書いてみましょうか。


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