第11話 邂逅

 ふぅ……


 僕はトイレから戻り、自伝の続きを読み始めた。


<※ここから会話文が多くなり小説ぽくます。


『プシュケ』がフレンドになった。とりあえず、挨拶しよう。


「初めまして!ライトと言います。フレンドに誘ってくれてありがとう。よろしくね!」


 すると、すぐ返信がきた。


「初めまして、私はプシュケ、あなたの名前ライトじゃなくてエロスになってるよ。よろしくね、旦那様」


 しまった!今はライトではなくエロスという名前でプレイしているのをすっかり忘れていた。


「もしかして、開闢の光のリーダーのライトさん?個人ランキング2位の。お会いできて光栄だわ!」


「そうだよ、ずっと2位だけどね。やっぱり、ゼウスはなかなか倒せないよ」


「まぁ普通にやってたら無理よね。実は、私、ランキング1位取ったことあるよ。神悪が開始して一番最初のイベントでね」


 え……『ゼウス』以外でランキング1位が存在したなんて……

でも『プシュケ』なんて聞いたことがないぞ?


「え?本当に?でもプシュケって名前のプレイヤー聞いたことないけど」


「そりゃ、プシュケは勝手につけられた名だもん。本当は別の名前。教えないけどね」


 あ、それもそっか。本名気になるな……


「えー教えてよ!減るもんじゃないし」


「じゃあゼウスに勝ったら教えてあげる。一緒に頑張ろうね!」


 初代個人ランク1位がフレンドなんてすごく心強いけど、はたして二人で『ゼウス』に勝てるのか?


「頑張ろう!でも勝てる方法なんてあるのかな?散々ベストを尽くしてきたけど一回も勝てなかったよ」


「私はゼウスの強さの秘密を知っているわ。勝つためにはまず、ゼウスと同じ土俵に立たないと」


「なんだって!?ぜひ教えてくれないか?」


「いいけど、ただし条件がある。絶対ゼウスに勝つこと、お願い!」


 プシュケとゼウスの間には何か因縁があるみたいだ。

俺も因縁があるんだ!勝手にだけど。

絶対勝ってやる!


「絶対勝つよ。約束する」


「ありがとう。ちょっと長くなるけど……」


「ゼウスの強さの秘密は、異常なプレイ時間もあるけど、やっぱりデッキが強すぎるのよ。プレイヤーのゼウスはゴッドレアの『ゼウス』を所持しているわ。データがリセットされても絶対デッキに入れてくるに違いないわ

実は、ゴッドレアはガチャで手に入れる代物じゃないのよ。自分で『作る』の」

 

「ゴッドレアを作るだって!?どうやって?」


「今からそのやり方を教えるから。そんなに難しいことじゃないよ」


「必要なものはNノーマルレアのカード、これだけ。これをゴッドレアまで進化させていくの」


 !!!!!

 盲点だった。Nノーマルレアのカードはほとんど強化の餌として使用される。

だれも、進化させようなんて思わない。

進化のおさらいをすると、カードを進化させるには同じカードを2枚用意しなければいけない。

さらに、例えば、同じRレアカード同士を使い進化させるとR+レアプラス、R+を進化させるとR++レアプラスプラスというレアリティになる。

基本的にはR++で進化は止まるのだが、最初のレアリティがNのカードだけさらに次のレアリティに進化することができるらしい。つまり、N++を進化させると、Rになる。

順番にレアリティを挙げると、N、N+、N++、R、R+、R++、SR、SR+、SR++、UR、UR+、UR++、ゴッドレアとなるみたいだ。


「ちなみ、ゴッドレアも++まであるみたい」


「理屈はわかった。でもこれ同じカードが大量に必要になるんじゃないか?」


「そう、その通りゴッドレアにするにはNカード4096枚、ゴットレア++にするには16384枚必要になるの。」


「気が遠くなる量だね……どうやって集めるんだ?」


「方法は色々ある。イベントで敵を倒してカードを手に入れる方法と、ガチャで引く方法」


「課金ガチャはR以上しかでないはずだけど?」


「そう、だけど、もう一つのガチャがあるじゃない。毎日一回無料で引けるノーマルガチャが」


 なるほど!わかったぞ!

普通ならノーマルガチャは1日一回しか引けない。またノーマルガチャからはNかRしかでない。しかも今は特別措置によって何回でも回せる。これを利用するんだ!


「なるほど、今なら回し放題だから、ノーマルガチャの10連を回せば効率がいい!」


「その通り!しかも、私たち二人でやるから一人でゴッドレア+まで作れば、++までできるわ」


「ゴッドレア+まで何枚必要なんだい?」


「8192枚」>


 


 まさか、ここでGODの確率がでるとわ……

てか、こんなやり方全く知らなかったぞ……

神悪2でもできるとしたら……やってみる価値はありそうだ。


<「課金ガチャでゴッドレア『ゼウス』引くよりは断然早いな!よしやってみよう!」


「ガチャだから色々なカード出るけど、とりあえず進化させてみましょう!進化できるカードとできないカードがあるみたいだから、それを見分けましょう。じゃあこれからは別々で行動しましょう。時間が惜しいわ。

何かあったら連絡して。」


「ラジャー!」


 僕はノーマルガチャをひたすら回しまくった。10連ガチャを100回回し終わるたびに、カードを整理し、進化させてみた。確かに進化がN++で終わるカードもあれば、R以上に進化できるカードもある。

プシュケの言った通りだ。

R以上に進化できるカードはとりあえずできるところまで進化させてみよう。


 あれ?このノーマルガチャの確率おかしいぞ。

Nの『エロス』のカードだけ異様に多い。1000枚中400枚がNの『エロス』だ。

まさか、今ついている名前のカードが出やすいのか?

これはありがたい!

このペースならあと10連ガチャを約2000回ほど回せば目標の8192枚集まるはずだ。

時間にして……えと、10連ガチャを1回回すのに1分かかるから……

2000分、約33時間、丸1日と9時間か!

イベントの2日目までには完成できる。残りの3日間で勝負する!

これを『プシュケ』に伝えよう。


「2日あれば集められそうだよ!確率に偏りがあるんだ!」


「そうみたいね、こっちはプシュケのカードに偏ってるわ」


 ん?ということはもしかして自分のカードは自分で全部集めないといけない?

それだと、話は変わってくるぞ……いやでもやるしかない。ゴッドレア『エロス』に全てを賭ける!>


 ん~ガチャ引き放題があったとしてもこれだけ時間がかかるのか……

果てしないな……でもやるしかない。

てか、進化石使えないんかな?そしたらかなりショートカットできるけど。


喉か湧いたな……


プルルルル


「あ、すみません、コーラお願いします、はい失礼します」


 もう慣れたものだ。

一旦休憩はさむか。

面白くなってきたぞ!



つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る