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 レインさんが僕たちの前から去り、その場は急に静かになった。出会ってからそんなに時間が経っていない間柄なのに、こんなにも寂しい気持ちがするのはなぜだろう?


 それだけインパクトが強かったということなのかな。あるいは僕と彼女の間にも何かの縁があるということだったりして。それなら後者の方がいいな。だってその方がきっとまた会えて嬉しいから。


 そういえばレインさん、魔法が使えないままのはずなのにひとりで行ってしまって大丈夫なんだろうか? 僕が意思疎通をした熊はもう襲って来ないはずだけど、ほかにも猛獣やモンスターはいるだろうし……。


「ねぇ、ミューリエ。レインさん、ひとりで行かせてしまって良かったのかな? だって魔法は使えないままなんだよね? 追いかけようか?」


「ん? あぁ、それなら心配はいらんだろう。なんだかんだでヤツは、しぶとそうだからな。熊に襲われて私たちと出会ったのも、ある意味で宿運がそうさせたのかもしれん。それで結果的に命が助かったわけだしな」


「あっ、なるほど。そういう考え方も出来るね」


「それよりもアレスよ、今日の移動はここまでにしないか? 疲れているだろう?」


「えっ? それってここで野宿しようってこと?」


「そういうことだ」


 それは思いがけない申し出だ。だっていくらなんでも野宿をするにしては早すぎる時間だもん。ランチにするというのなら分からないでもないけど。


 もしかして僕の疲れ具合を気遣って、言ってくれてるのかな?


 でもいくら体力のない僕だって、少し休めばもうしばらくは歩けると思う。


「疲れているのは確かだけど、全然歩けないってわけじゃないよ。それにお日様の位置だってまだ高いし、もう少し先へ進もうよ」


「ちょっと思うところがあってな。それにアレスだってそんなに急いでいるわけではなかろう?」


「う、うん……。ミューリエがそこまで言うなら、僕は反対しないけど……」


「では、決まりだ。ここで野宿しよう。一緒に薪を拾いに行こう。それとさっき泉を見つけたから、そこで水を補給しておこう」


「分かった。じゃ、薪集めと水汲みのどっちからやろうか?」


「その判断はアレスに任せる」



 どちらを先にやっても時間的な大差はないと思うけど、どうしようかな?



●先に薪集めをする……→18へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859763772966/episodes/16816927859765122876


●先に水汲みをする……→26へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859763772966/episodes/16816927859765543696


 

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