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僕たちがしゃがんで地面に穴を掘っていた時のことだった。
不意に草むらの方からガサガサと音がして、何かが近付いてくるような気配が伝わってくる。
おそらく薪を集めてきたミューリエが戻ってきたのだろう。ただ、それにしては時間的に少し早いような気もするけど。
「ミューリエ、早かっ――」
そう声をかけながら音がした草むらの方を向いた瞬間、僕の体は硬直した。頭の中が真っ白になって、背筋が寒くなる。全身から冷や汗が吹き出してくる。
「ぐるるるる……」
そこにいたのはさっきミューリエが倒した個体とは別の熊だった。しかもさっきの熊より数倍は大きい。もしかしたら倒した熊の親熊とかっ!?
僕たちに対する敵意に満ちた瞳と鋭い牙の隙間からこぼれ落ちるヨダレ。ジリジリとこちらに向かって歩み寄ってくる。
逃げようにも腰が抜けてしまって立ち上がることすら出来ない。いや、逃げだしたところですぐに追いつかれ、襲われてしまうだろう。
それを認識した途端、僕のズボンは勝手に生暖かくびしょびしょに濡れた。
程なく熊は僕たちの方に向かって突進してくる。目の前に迫る熊の牙。直後、彼は体当たりをしてきて僕たちを仰向けに突き飛ばし、まずは女の子の上にのしかかって彼女の頭に噛みついた。
その瞬間は悲鳴を上げた女の子だったけど、すぐに声がしなくなり、爪に引き裂かれた部分や頭から大量に出血して手足がピクピクと痙攣している。
やがて熊の視線は僕に向いて……。
BAD END 3-3
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