第23話 生態

イチは足裏潔癖症らしい。


裸足で歩けないので、寝る時以外は常に靴下を履いている。


しかも、冷え性だから真夏でも二枚履き!


潔癖症はともかく冷え性はどうにかしなきゃと、色々提案したが。


本人にやる気がないので保留。


イチの足はかわいい形をしている。


本人は嫌らしいが…


その足で指だけをピクピク動かしてくるのでキュンキュンする。


常に靴下を履いているからなのか、やけに綺麗でもある。


「アメリカ人は常にパートナーの体の一部に触れてるんだって」


とある日突然言い出して。


何故か…強要された。


イチはリビングのソファを一人で占領する。小さい体でデカデカと横たわりわんぱくな王様みたいだ。


僕は端の空いたスペースにちょこんと座る。


僕の太ももの上にイチが足を乗せてきて、指をピクピク動かしてくる。


触れという合図だ。


そのピクピクが小動物の可愛さよりもかわいい。


かわいいしキュンキュンするが正直面倒臭い。


これがアメリカ人か…


しばらく放置すると


「もぎゅもぎゅ!」と言ってくる。


仕方がないので足裏をもぎゅもぎゅしてやる。


「ドーン」とか言いながら反対の足も乗せてくる。


無心でもぎゅもぎゅしてやる。


少しすると安心した赤ちゃんみたいに眠りにつく。


イチが眠い時は触ってるとわかる。


体温が上がり暖かくなってくるから。


本当に赤ちゃんみたいだ。


どうやら、足裏潔癖症のイチにとって僕の手は汚いものではないらしい。


多分…床やスリッパよりは。


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