暴風ガール

みなみくん

第1話chapter0


子供の頃大体の人は一度は観たと思う


ジブリってやつは年代を過ぎても、誰もが知ると言っても大袈裟じゃない


その作品の中のひとつで

空から女の子が降ってくるなんて映画があった



子供の層だけに限らず、

ファンシー、ファンタジー、SF、アクション、スチームパンク

色々取り込まれていて幅広く受け入れられる作品だと大人になる今でも思う



ただ、実際



いきなり空から人が降ってきた



そこだけ切り取ってリアルに置き換えたらそれはサスペスンスかスリラーかホラーだ


認識した2秒後には死体と御対面



投身自殺の第一発見者以外なにもんでもない



そんな下らないことを脳内でこねくりまわして例えにするなんて、余程の暇人か当人か、どちらかだろう



しかしながら、それに当てはまってしまった僕は



そんなことを思っている



隣に居る、某ファーストフードのハンバーガーをもりもりと食べる少女


彼女は数時間前、それを目の前で体現した


なんでよりにもよって



僕はそんな場面に遭遇しちまったんだ





暴風ガール


chapter,0【晴れ時々少女】




寂れた、取り壊しの決まったビル街


一昔前はテナントが溢れて、ビルやマンションが乱立し、まるで小さな一つの街のように経済を活性化させていた


詳しくはわからないけれど時代の流れと、暗に噂される怪異やオカルトの類い、風水がどうこうだと、真相は最早定かではないが時代と共に廃れていき廃棄地区のようになった


そのグループの経営者は失踪



国が少しずつ取り壊しを決める事になった



下見がてら行ってこいと社長に言われて、一週間調査休暇という名目で休みをもらい、だだっ広いこの街のようなビル街を見て回った


数時間かけてようやく最初取りかかる地区【区域と呼ぶには広すぎる】が分かった


感想




一言で不気味




iPadと照らし合わせて最初手をつけるところからある程度の工程表を照らし合わせてぐるぐると廻る



経年劣化でだいぶと脆い



取り壊し自体は楽そうだなー


そんな呑気な事を考えて、あらかた今日の分を見終えて、帰ろうとした時



人の声がした



は?



こんなとこに人いんの?



声をたどり近くと思わしきビルに近づく



見上げた瞬間



ガラスがふっとんで二階から人が吹っ飛んできた



無意識に走り出して受け止めようとした


2階なら死なないだろうと



とはいえ、一口に二階と言っても、建物のワンフロアの高さによりその高さは変わる



目測で見ても、ちっこいアパートなんかの二階の高さではない



けれど、そのまま思考と走るのをやめれば瞬く間にその人はコンクリートに叩きつけられ投身自殺の完成だろう


走りながらジャケットを脱いでせめてもの緩衝材にして下に辿り着いた


それと同時に凄い衝撃が走った


幸いというべきか、落下した人物は横向きだった為受け止めやすい体勢だった


しかしながら、落下した人間の衝撃は凄まじく、身構えて渾身の力を振り絞ってもそのまま僕も潰されるように崩れた


落下してきた人物の、頭部に特に力を入れて頭を打たないようにと思ったが衝撃で自身も倒れ強く打ち付け、一瞬昏倒しかけた


目がチカチカする

倒れこんで見上げた上空、丁度その人物が飛び出してたガラスが無くなったその場所


暗くてよくわからなかったが人が見えた気がした、一瞬



突き落とした?いや、でもあんなでかいガラスが全部割れて剥き出しになるってどういう、、


意識が遠退く


余計なことを考えるな


「おい、大丈夫か」


痛みを我慢しながら無理やり絞り出した声で落下してきた人物に声をかけた


「いたたた、びっくりしたー。あれ、誰?」


なんでもない様子の人物は、数秒僕を見ると僕を把握したようだった


そして目付きが変わり、飛び起きるように離れた


紛れもない警戒心をはらませていた


は?いやなんで?


やっぱ頭打ってなんかなってんの?


「あいつの仲間?」


落下してきた人物、少女は冷たい声で尋ねた


「え、何いってんの?というか急に動いちゃダメだよ頭打ってるんだし他にも打ち付けてるでしょ」



落ち着かせようと、その場から一ミリも動かず話し合いを試みた


落ち着いて、救急車呼ばなきゃ



「違う?え、でもなんでこんなとこに」


察しが良く、あいつ、が誰かは分からないが兎にも角にも、僕はこの落下について無関係と理解したらしい



「こっちの台詞だよ、なんでこんなとこに一般人が人が居て大破したガラスと降ってくるんだよ」


言い終わるなり、手を引かれ無理やり起こられた


「走るよ」


おい、待て


言葉にするより早く、無理やり走らされた


麻痺してるのか、なんなのか


受けた時の痛みは全く無くなっていた



「こんなとこに来るんだから車かバイクでしょ?」


「ああ、ちょっといったとこに軽がある」



「とりあえず逃げてから、話はそれから」



逃げる



救急車をここで呼ぶでもなく、離れるでもなく、逃げると言った



それは追ってくる誰かがいるという意味



一瞬垣間見えた、あのヒト



ぞっとした


少なくとも、事件性しか浮かばない



理解はあとだ


こっちだ、と、彼女より前を走り車まで先導し、急いで乗り込みビル街から走り去った


「追尾する忌術からお守りください」


独り言を助手席で呟き少女



それが独り言でないことは少しして知る




そして、その時にはもう遅く、僕はとんでもないことに巻き込まれていた



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