エピローグ


 綾川達との一件も片付き、俺と宇佐美は特に何事もなく、学校生活を満喫している。最後にあった後、綾川がどうなったのかは知らない。


 しかし、最後見た時の様子からして、あまりうまくいってないのだろう。だが、もはや綾川と俺の間には本当に何もないのだ。あまり気にしても仕方ないだろう。


「あ〜! 今、ハル君、私以外の女の子のこと考えてたでしょう!」


「そっ、そんなわけないだろ」


 なぜ分かるんだ? 宇佐美の驚異的な察知能力に俺は恐れ慄く。宇佐美と俺は今、屋上でお昼ごはんを食べている。最近は、屋上で一緒にお昼ごはんを食べることが、学校がある日の日課になっていた。


「ハル君! はい、あ〜ん」


 お昼ごはんの時間に毎度行われるこのあーんにも少しは慣れてきたところだ。コツは無心になることだな。俺はいつも通り、心の中で素数を数えながら宇佐美がやってくる、はい、あーんを耐え忍ぶ。


「ふふっ、美味しいですか? ハル君」


「ああ、すごく美味しいよ」


「なら良かったです!」


 俺の返答を聞くと、宇佐美は嬉しそうに笑う。


 俺たちの日常が帰ってきた。できることならば、一生この平穏な時間が続くことを俺は願うのだった。




ーーーーーーーーーー




 東凰学園の空き教室。そこに、周りに男を侍らせながら、優雅に紅茶を飲む女子生徒がいた。周囲に侍る男たちは、皆一様に容姿が優れている。女子生徒が紅茶の入ったカップを机に置き、同じく机にあった資料を手に取り、見る。


「フフフフフ、やっぱりね!」


 彼女は手に持っていた資料を勢いよく机に置き、口を開く。


「周王春樹、あなたは私のものにする!」


 また、新たな争いの種が近づく……。

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