455、宇宙検閲官仮説【うちゅうけんえつかんかせつ】

 英:cosmic censorship hypothesis。物理学者ロジャー・ペンローズによって提唱された仮説。一般相対性理論によると、宇宙にはあらゆる物理法則が破綻をきたしてしまう「特異点」という点が存在する。有名なのがブラックホールであり、その内部では特異点が自然と出現することが証明されている。だがこの場合、特異点はブラックホール内に隠されている(情報が外に出ていかない)ため、宇宙の法則を乱すほどの不適切な存在とはならない。一方、一般的な宇宙空間にも特異点が存在する可能性も示唆されており、これはブラックホールという外套を着ていないことから「裸の特異点」と呼ばれている。この特異点が存在すると物理法則が破綻してしまうため、宇宙についての理論をつくることが不可能になってしまう。「このような事態を避けるため、宇宙には裸の特異点を取り締まってくれるあたかも検閲官のような存在がいるはずだ」と願望を込めて主張したのが、この仮説である。これまでに証明はされておらず、いまなお議論の的となっている。

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