(一)-2
彼女は私の親友であり、学生の反政府運動グループのリーダーを務めている。彼女自身は「自分はあくまでも副リーダー。反政府運動のリーダーはロイ・レオンスカヤで、学生運動のリーダーはペトロ・カルヴァシよ」と言っていた。
「大統領が、ゲゲチコリがテレビに出ている!」
それを聞いて私たちは奥のリビングへ移動した。デニスがテーブルの上に置いてあるテレビのリモコンを掴み、電源ボタンを押した。
テレビをつけると、国営放送では演台で男性が演説をしている姿が映った。大柄な体格、四角いあご、赤いベレー帽、そして低くて響く声。まさしくこの国をクーデターで手に入れたピョートル・ゲゲチコリの姿であった。
(続く)
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