第149話





みんなでソファーに腰掛け話し合い、今回の行き先を決める。 私含め他の人達もどこでも良いとなったので、行き先の決定権は久しぶりに日本に行く長谷川さんだ。 領主と行った接待はノーカンだ、との事。 ちなみにカタログギフトは三冊で行くことになった。


名前だけは私とマッヘンさん、倉敷さんと菅井さん、相良さんと長谷川さんと言うペアになった。


あっちに行ってからマッヘンさんは倉敷さんたちの部屋で過ごす事になった。 今回私は一人部屋。 こんなことになるなら灯里を誘えば良かった。 ……ギルドのお仕事があるから無理か。


「そうだ、長谷川さん、お金両替しておきますか?」


「両替?」


「こっちのお金とあっちのお金の両替です、渡り人向けに金貨一枚につき1万円で交換してます。 限度額は10万円ですね」


「お? 良いのか?」


「はい」


「ありがとう」


アイテムボックスから金貨を取り出し渡されたので日本円を代わりに渡した。 倉敷さんたちはまだ残ってるからいいそうだ。


まあ両替したとこで支払いはほとんど私がするもんね。 カタログギフトを充実させなきゃ。 なんたってご当地ものはそこに行かなきゃ買えないものが多いもの。


「っとその前に桜これ登録しておいてくれ」


「? ……なんですか? これ」


倉敷さんがそう言ってテーブルの上に置いたのは魔道具だった。 サイズはバケツくらいの大きさで見た目だけではどう使うのか分からない。 とりあえず言われた通りにお金を渡し登録しておいた。


「魔獣を捕獲しておくための結界だ」


「結界?」


「スタンピートで魔獣が湧く範囲に置く。 半径500mだから追い追い改良はす「どこまで広げられるかのう? 強度も並行して上げねばならぬのう!! いや、まずは解析がさきじゃ「爺さんは黙ってろ!!」」


新しい魔道具に即座にテンションが上がるマッヘンさん。 倉敷さんに叱られてしょぼんとなった。


「んで、この結界の中で沸いた魔獣はそこから出られないようになってる。 どこまで耐えられるかは実験してみねーと分からん。 湧いた魔獣は相良、頼んだ」


「分かりました」


うわぁ相良さんいい笑顔。


「相変わらず魔法命だね、どうやったらそんな魔法打てるんだか」


部屋の内装を整えた後、魔法の特訓をしていた菅井さんが言う。 私も同意します。


頷きながら魔法で魔道具の複製を出していきそれを相良さんがアイテムボックスにしまっていく。


「……なんで取り寄せできてんだ?」


それを見た長谷川さんが頬をひくつかせながら聞いてくる。


「そう言う魔法ですからー」


それをさらっと流しておく。


ある程度魔道具を渡したところで相良さんがばら撒きに行った。 一人で行ったほうが早いからだ。


「さて、長谷川さん」


「な、なんだ?」


「行き先は決まりましたか?」


テーブルの上にはズラッとカタログギフトを並べた。


ふーと長いため息を吐き、長谷川さんが一冊手に取りページをパラパラ捲っていく。


「ここだ」


そこに書かれた温泉は和風な佇まいで田園風景と露天風呂の写真が載っていた。


「良いですね、せっかくですから季節も選んじゃいましょ?」


「季節?」


「田園風景なので青々とした初夏でも良いですし、実りの秋でも、雪景色が楽しめる冬でもどれも良さそうじゃないですか!! どれにします?」


「うーん、そうだなぁ……」


長谷川さんの答えを聞き、相良さんがばら撒き終え戻ってきたタイミングで皆んなで出かけた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る