第129話

そして領主と打ち合わせの日が来た。 


前回と同じように馬車を手配し招待状を手にし相良さんと共に領主のところへ向かった。


門番に招待状を見せ通してもらい御者は待合室へ馬車はお城の厩舎へと誘われた。


メイドに案内され客間へと移動する。


用意されたお茶に舌鼓をうっていると領主が現れた。


「待たせたな」


慌てて席を立つとそのままでいいと手で制された。


メイドが領主の分のお茶を用意すると下がらせられた。


室内には私と相良さんと前回と同じ護衛の人と領主の4人だ。


「さて早速ですまないが……カタログギフトの使い方について復習してもいいかな?」


護衛の人がカタログギフトをテーブルに置く。


ちょっと見ないうちに随分と読み込んだようで少しよれていた。


「私には字が読めないので勉強させてもらった」


あっちの世界の本自体が、というか文字自体が少ないのか。 これで勉強するのかとちょっとびっくりした。


「不躾で失礼致しました。 使い方ですね、それぞれの内容についても必要でしょうか? それとも記入の仕方をお教えすればよろしいでしょうか?」


私の言葉に領主は自分の護衛をチラリと見た。


「記入の仕方だけでいい」


「分かりました。 では私が持っている物で代用致します」


アイテムボックスから日帰り温泉を選べるカタログギフトを取り出して領主に見えるようにして開いて手元に置く。


「後ろの方についている葉書を取ります」


ペラペラと捲り葉書が差し込まれたページで止まる。


葉書を手に取り見せる。


適当に開いたページを見せる。


「ここに書かれた番号をこちらの葉書に書き込みます」


記入するとタブレットが出てきた。


「これは……?」


「こちらは読めますか?」


「いや……読めない。 すまないがなんて書いてあるんだ?」


「こちらには日付を選んでくださいと書いてあります」


私の言葉を聞いた領主は護衛をチラリと見る。 護衛の人が頷いた。


「使い方の説明なので一番早い日付にしますね」


領主に見せながら早い日付を入力する。 


続いて名前を入力してくださいと表示が変わった。


「名前は今回は使わないのですがとりあえず私の名前を入力します。 ここの名前は行く人数分入力する事になります」


領主を見ると頷いた。


そして次が完了しますか?という文字が浮かんだ。


「ここには今完了しますか? という文字が浮かんでいます。 ここではいを押すとあちらの世界に行けます。今回は選んだものが日帰り温泉だったのでこれだけになります。 料理が選べるものなら料理の選択も出てきます。 他にも何か選ぶ選べるものがあるならそれも入力する事になります。 これで使い方は以上です。 宜しいでしょうか?」



「あぁ……」


「では次に検証の参加者をお伺いしても宜しいでしょうか? 初めてあちらの世界に行くならばあちらの案内をする者が必要になります。 特に男女で別れなければいけない場所もあります。 私ではご案内できかねる場所もございます。 今回領主様を案内するのは隣に座っている相良が行います。 私がご案内出来ず心苦しいのですがご容赦頂けると幸にございます」


「それは構わないが、参加者は今のところここにいる4人で出来るか?」


「4人ですか? 私は構いませんが……では出来るならば日帰りで願えないでしょうか? 宿泊ですとどなたかと私が相部屋をしなくてはならなくなってしまいますので……」


「構わない」


今回は本当に行けるのかが目的らしい。 宿泊云々以前の話だった。

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