第121話
今のところ領主の反応はいい。
なんて言ったって、今渡したカタログギフトはお酒のカタログギフト。
こっちにきた時にウィスキーを渡したことからウィスキー専門のものを探した。
お値段は5000円以下だけど今までは選ぶこともできなかったろうから、ウィスキーが好きな人にはたまらないだろう。
「これは……楽しいな……」
そう言ってちらっとそばに控えている護衛の方を見た。
気になって視線を追ったが護衛の人は私の視線に気づくと目を伏せ頷いた。
「では、これを」
そう言って示されたのはCLAYMOREと書かれたウィスキーだった。
「分かりました」
本来のカタログギフトは取り寄せする場合住所を記入する箇所がある。
けれども魔法で出したカタログギフトは番号を入力するだけで出てくる。 簡単だね。
領主が番号を入力するとウィスキーとセットになっているグラスが何もない空間から出てきた。
代わりにカタログギフトは消えた。
「本当に……出た」
出てきたウィスキーの瓶を手に持ち眺めている。
控えていたメイドさんがグラスを持ってきてテーブルに置く。
領主はキャップを開け魔道具で氷を入れるとウィスキーを注いだ。
毒見をしようとした従者を制して口に含んだ。
「初めて飲んだが美味しいな」
領主には高評価だったみたいだ。 良かった。
次からが本題だ。
その前に、
「次の話に移る前に……差し支えなければ人払いをしてはいただけませんか?」
「私の使用人は口が堅い。 問題ない」
私の願いはにべ無く却下された。
「失礼致しました」
「良い」
「では、こちらをご覧ください」
今度は色々選べる100,000円のカタログギフトをアイテムボックスから取り出しテーブルに置いた。
領主は手に取りページをペラペラと捲る。
「先程のとはまた違うな……種類が……多いな」
最初は軽く捲っていたのがいつのまにか食い入るように見始めた。
スーハーと深呼吸し気持ちを落ち着ける。
次の発言で処遇が決まる。
柄にもなく緊張する。
「そちらが今回のスタンピートの原因です」
私の言葉を聞き領主はピタッと動きを止めた。
「どう言うことかな?」
「気付いたきっかけは今回のスタンピートの調査に同行したことです」
「それで?」
「はい。 そこでその方から予測ではあるものの、スタンピートは、あちらとこちらが繋がった際あちらの魔力がこちらに流れ込みなんらかの影響を受け魔獣が増える。 ということを聞かされました」
「……」
ちらっと領主の様子を伺う。 遮る様子はないので続ける。
「そのカタログギフトを使用す「ちょっと待った」」
話を続けようとしたら領主から待ったがかかった。
めんくらって見ると領主は指にはめていた指輪に触れた。
「……すまない。 盗聴防止を起動した。 続きを聞こう」
「あ……はい。 そのカタログギフトで私たちが来た世界に行くことが出来ます。 それによって一時的に繋がったんだと思います。 それにより今回スタンピートが起こったんだと思います。 ですから今回の件は私のせいです。 誠に申し訳ありませんでした」
言い終えると同時に立ち上がり頭を下げた。
言い切ったぞ。 どうなる!?
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