第103話 灯里とシリウスさん2
「本宮様……?」
灯里は一歩ずつこちらに近付いて来た。
「灯里来ちゃだめ!! 病んでるよコレ!!」
「待ってて下さい本宮様! 今コレを処分しますから」
周りの冒険者灯里止めてよ!!
そう思って見るが皆んな困惑して止めようとしない。
そうだ!! 春子さんは!?
そう思って春子さんを見れば腕を組んで眺めている。
ガドラスさんは他の冒険者達に抑えられてる。
ギルマスと私だったら私見た感じ怪我しそうにないしギルマス優先だよねそりゃあ。
見ていた冒険者が灯里を止めようとする。
が、灯里は止まらない。
「灯里!! ストップストップ!!」
慌てて静止を呼びかける。
灯里と目があった。
「
灯里が呟いた瞬間灯里が消えた。
「良い加減にしろ!!!!」
近くで灯里の怒声が響いた。
「えっ?」
どこに? と思ったら……
ドンッ!!!!!!
「ぐえっ!!」
壁に何かが激突する音が聞こえ激突したであろう誰かの声も聞こえた。
なにが?!
土煙が晴れる。
私の側には灯里が、壊れた壁の下にはシリウスさんが倒れていた。
「「「「「「「はっ?!」」」」」」」
「「シリウス!!」」
倒れたシリウスさんの元に男女が駆け寄る。
「も……本宮……様?」
フラつきながら立ち上がるシリウスさん。
激突した壁には凹みができ崩れている。
そんな衝撃を受けて立ち上がれるってどんな体しているんだ。
そして灯里いつからそんな怪力身につけたの!?
シリウスさんと灯里を交互に見た。
灯里はシリウスさんに歩み寄ると、
「
回復魔法を使いシリウスさんの怪我を治した。
「おお……ありがとうございます」
「何で桜に攻撃したの?」
「流石本宮様ですね。 一瞬で痛みも無くなりました」
「何で桜に攻撃したの?」
「何をそんなに怒ってらっしゃるのですか? アレは不要のものでしょう」
「何で桜に攻撃したの?」
「本宮様にとって邪魔だからです。 害虫は退治しないといけません」
こちらから見えるのは灯里を見つめるシリウスさんと灯里の後ろ姿だけだ。
灯里教にでも入信してるのかてくらい様子がおかしい。
ドン引きで見てると灯里がまたシリウスさんに殴りかかった。
ドンッ!!!!!!
再び壁に打ち付けられ苦悶の表情を浮かべるシリウスさん。
「
「あ……ありがとうございます」
何で殴られて回復されてお礼言うの? マゾなの?
「私が誰と付き合おうが私が決める。 貴方にはそれを邪魔する権利はない」
「それはなりません。 本宮様程高貴な人には俗物など似合いません。 汚れてしまいます。 あぁ……そうだ……排除いたします。 そこの物欲まみれの者から本宮様を離さなくては。 本宮様がおかしくなったのはアレのせいに決まってる。 私の本宮様は私を拒絶するはずがない。 そうだアレを排除すれば元の本宮様に戻る……そうだそうに違いない」
シリウスさんはそう言いこちらを見た。
目が合う。
焦点の定まってない瞳で不気味に笑う。
もう……ドン引きだよ。
「いい加減にして」
パンッ。
今度は乾いた音が響いた。
灯里がシリウスさんの頬に平手打ちした。
殴られた頬を手でそっと押さえ視線を私から灯里に移すシリウスさん。
なぜ殴られたのか理解が出来ないと言う顔をしている。
「私は私が一緒にいたいと思う人と一緒に居るの」
もう一度平手打ちをする。
「私が誰といるかは私が決めるの」
再度反対側の頬を平手打ちする。
「貴方に決定権はないの」
また平手打ちをする。
シリウスさんの頬は真っ赤になっている。 これは腫れるぞ。
「貴方の理想の私を生身の私に押し付けないで!!」
ドンッ!!!!!!
往復ビンタからの渾身の腹パン綺麗に決まったね。
めっちゃ痛そうだよ!!
「
また怪我を治されたシリウスさん。
今度は立ち上がらずに座ったまま灯里を見上げている。
「今まで守ってくれたことは感謝します。 ……今後は二度と関わらないで下さい」
ぺこりとお辞儀をしこちらに歩いてくる灯里。
その時、キョアァァァァァアアアア!! と言う叫び声が森の方から聞こえ地面が揺れた。
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