4月13日(土)

〈ハルト視点〉








土曜日で客のローテーションも多く

バタバタしたけど23時前になり

少し落ち着いたから溜まった洗い物を片付けていた






セイ「陽兎!今日のバイト終わったら 皆んなでカラオケ行こうぜ?」





ハルト「悪い今日は用事あるんだよ」






セイ「用事?」






ハルト「そっ!笑 多分ね…甘えん坊の方かな?」






セイ「甘えん坊?なんだ?笑」







昨日の夜ヒナから電話があったけど

気づいたのが夜中で寝てるだろうと思い

昼過ぎに折り返し電話をしたけど…






「なんの用だったか忘れちゃった…寝ぼけてかけてたのかな?笑」






( 多分…何かあったんだ… )






昨日の夜は店長に許可をもらって

皆んなで帰らずにメニューの練習をしていて

ヒナの電話に出てあげれなかったから…



 



俺はバイトが終わると近くのコインパーキングに

停めていたじーちゃんの車に乗り

ヒナのアパートへと向かった






( あのロボットのヤツに怒られたのかな? )






ヒナのアパートの前に着き

車の中からヒナに電話をかけると…






「はーちゃん?もう終わったの?」






まだオープンしたてで

いつも遅くまで連絡できないから驚いていた…






ハルト「ヒナ、降りて来て!ドライブしようよ?笑」





「えっ…ドライブ??」





ハルト「部屋着のままで大丈夫だから!笑」







ヒナは直ぐに降りてきて最初俺の車が分からず

キョロキョロとしていた






ハルト「ふっ…笑 ヒナ!」


 




車から降りて手招きをすると

車を見て「えっ!」と固まっていた

じーちゃんの車だし…まぁ…渋いっていうか…

大学生の俺には…高級車なのかな…






「・・・・どうしたのその車…」






ハルト「じーちゃんから借りたの!笑」






「お爺さん…あっ警察官だからか…」






ハルト「警察官だとクラウンなの?」






「年配の方のイメージはね…乗っていいの?」







「どうぞ」と言うとヒナは助手席に回ってきて

「お邪魔します」と言って座席に座ると

ちょこんと小さくなって座っている






ハルト「じゃーね…定番の夜景とかでもいい?」





「うん…」






ヒナは少し緊張してるみたいで

口数が少なかったけど

「はーちゃんの運転なんか新鮮だね?」と

笑って話だしたから安心した





昼間にネットで調べておいた

夜景の見える場所へと連れて行き

車を停めてヒナが話し出すのを待った…





俺がバイトの話やじーちゃん達との話をすると

ヒナは聞き手側に回って話さなくなるから…





「綺麗だね」と呟いていたヒナが

10分ほど黙った後に「ねぇ…」と話だした







「・・・・はーちゃんは…どんな会社に入りたい?」






ハルト「会社??何系って事?」






「・・・企業説明会があってね…」






ヒナはシートベルトをずっとしめたまま

そのシートを触りながらポツリ、ポツリと話だした…





この前のオタクの新入社員から

第1志望の会社になれないと言われ

悩んでるみたいだけど…




多分…あの電話はちょっと違う気がした…

まだ俺に話していない何があるのは分かったけれど

ヒナが話したくないなら無理に聞く気はなかった…






ハルト「んー…文字と表ばっかりじゃ…

  確かにイメージ湧かないかもね?笑

 

  俺や…洸達はとくに?笑

  何処もそんなPRばっかりだと眠くなるし…

  終わってもあんまり記憶にはないかな…」






「そう…だよね…」






ハルト「俺あれ好きだった!進研ゼムの漫画!笑」






「漫画?」






ハルト「そう、進研ゼムをしたら

  部活も恋も上手くいきますみたいなあの漫画」






「・・・・・・」






ハルト「誰か社員の人の1日みたいなの見たいかも!」






「・・・・えっ?」






ハルト「朝起きて出勤して…

  なんだろランチミーティングしてみたいな?

  その会社で働いてる人の憧れるような

  社会人の生活がみたいかな?」






「憧れる…ような?」






ハルト「2月、3月にヒナ家で仕事してたでしょ?

  なんかいつものヒナと違って

  OLさんって感じでカッコ良かったし?笑」







一番最初にヒナに惹かれたのも

綺麗な大人のお姉さんって雰囲気だったしなと

思い出しながら笑っていると

「ハル…」と甘えた声が聞こえてきて

やっぱり甘えん坊の方だったかと思い

ヒナのシートベルトを外してから

顔に手を添えてキスをした



 


俺の首に腕を回して甘えてくるヒナに

「好きだよ」と囁いてその唇に何度も口付けた…





最初に惹かれたのは大人でお姉さんなヒナにだったけれど…

アナタを知れば知るほど… 俺は…

子供の様に甘えん坊なアナタに夢中になった…









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る