番外編
番外編 ネオンとシーシャがただ喋るだけ
▽こちらは、4章直後の時系列です。
シーシャ「ネオン見て。これ! この前ヴェルさんと散歩に行った時の写真なんだけどね」
ネオン「あーうん。綺麗綺麗。……前から思ってたんだけどさ」
シーシャ「ん?」
ネオン「その、スマホべた置きでひたすら写真スクロールする癖、フォルダに何もやましいもの入ってないんだなって思って和む」
シーシャ「?」
ネオン(……いや、やましいもの入ってても堂々としてる奴らも居たなそういや)
マロ『ネオンちゃ~ん、こないだ言ったお店のケーキが美味しくて……あっ! まって、こっちのフォルダはムーンが撮らせてくれた夜のやつだった! バレたらムーンに怒られちゃうから内緒にして……?』
フルーレティ『あの、すごく可愛い下着のお店を見つけたんです……! 迷った結果、気になったのぜんぶ買って着てみたんですけど、ネオンさんはこの中ならどれが一番』
ネオン「……やっぱ何でもなかった」
シーシャ「あとね、新しい服欲しいなって思って色々見てたんだけど、これ可愛いよね」
ネオン「ほんとだ、可愛い。 カラーに白があるの珍しい」
シーシャ「白好きなんだよね。まあ着てると、天使の色だとか何とかうるさく言ってくる悪魔、たまにいるけど」
ネオン「まあ古い世代の悪魔ほどそういうのあるよね。私ですら面倒だから仕事の時はあんまり着ないようにしてるし」
シーシャ「薄いグレーは良くて白はダメなの、難癖すぎて意味わかんないもん」
ネオン「そういうの誰が最初に言い出して広まるんだろうね」
シーシャ「そりゃ偉い人じゃない? インフルエンサー的な。ねえ、ネオンが偉い人になったら何色を流行らせたい?」
ネオン「色とかじゃなくて偉い人権限で半年くらい旅行とか行きたい」
シーシャ「なんか、宝くじ当たった時の使い道ランキング上位に入ってそうな夢だね」
ネオン「平凡ってことか?」
シーシャ「でも実際さあ、何でも願いを叶えてやるとか言われたら困らない? もし時間制限ありだったら、何にも思いつかずに終わっちゃうかもしれないんだよ」
ネオン「そんな心配することある? なら今考えておけばいいじゃん」
シーシャ「じゃあ、何か強い能力が欲しいな。何がいい?」
ネオン「振るなこっちに。何か強い能力、って漠然と願ってしょうもない能力を寄越されたらどうするんだよ」
シーシャ「あえて何が来るかわからないように願うってこと? それはそれでガチャみたいで射幸心くすぐられるね」
ネオン「あーうん、引き直し無限だといいね」
シーシャ「でもそういうの、ロキさんに頼んだらやってくれそう。魔具の研究者なんでしょ?」
ネオン「ガチで何を寄越すかわかんない奴に頼もうとするな」
シーシャ「出来れば、今の能力とシナジーあるやつ! って言っても、浮遊くらいしかできないけど」
ネオン「常に浮いてても疲れないのはちょっと羨ましいな」
シーシャ「悪魔のひとが飛ぶのは疲れるの?」
ネオン「まあ全力疾走と同じか、それ以上」
シーシャ「そっか。で、何の話だっけ? シナジー? んー、じしんが使えるパートナー、とか欲しいかなあ?」
ネオン「どこの世界のシナジーの話?」
ロキ「キミたち!! 居るかい?」
シーシャ「あれ、ロキさん? どうしたんですか?」
ネオン(何でいつも当然のように自宅の住所が割れてんだよ)
ロキ「実は、少し匿って欲しくて、キミたちを頼って来たのさ」
ネオン「まじで他にもっと頼る相手を探したほうがいいぞ……」
ロキ「こ、このロキ様が他に人望が無いとでも!? 天才はそうそう弱味を見せないだけであって、いざ頼ろうとすればいくらでも協力者はいるはずさ……!」
ネオン(冷や汗が尋常じゃなさすぎて可哀想になってきたから黙ってよう)
シーシャ「それで、何があったんです?」
ロキ「ええと……実験をしていたら、魔具の調整の加減を間違えて、その……七番街広域に出力してしまって」
ネオン「街中に魔具をぶっ放したってこと? そんな奴匿えるか!」
ロキ「イヤイヤ、そんなに大した被害じゃないよ! ただ、範囲内の住民の服が弾け飛んだだけで!」
ネオン「え、じゃあ今、七番街全員全裸なの? どんな地獄絵図だよ」
シーシャ「まあここ地獄なんだけどなあ」
ロキ「下層の悪魔はべつに全裸くらいで大騒ぎしないだろう? ただ、この大天才! であるワタシが研究を失敗したと広まったらなんかイヤだから、有耶無耶にして避難してきたというわけさ!」
ネオン「清々しい自分本位だな……」
ロキ「というわけで、ほとぼりが冷めるまでここでお茶させてくれ」
ネオン「その辺りのバーにでも行って来いよ」
ロキ「時間つぶしに、ワタシが見た夢の話でもするかい?」
ネオン「一番興味ないわ」
ロキ「あれはそう……夢の中でワタシは相変わらず研究をしていたんだけど、気づいたら親指が陰茎になっていたんだ」
ネオン「ちょっと興味湧いた自分を殴りたい」
ロキ「だが困ったことに、それがどうしても勃たなくて……親指がふにゃふにゃということは物がうまく掴めないだろう? ワタシは実験道具をうまく掴めず、もう研究ができないのかと半泣きになっていたんだ、そうしてひとしきり不安になった後に目が覚めた」
シーシャ「ロキさん、疲れてるんですか?」
ネオン「まあ、全部の指がそうなったワケじゃなくて良かったじゃない」
ロキ「ネオン嬢、キミはポジティブだね。ワタシもそう思うことにするよ」
ネオン「いや、夢なんだよね? 実際にはなってないんでしょ?」
ネオン「はぁ……ここに居つかれても困るし、今日はどっか外に食べに行かない? ロキ、あんたいい店知らないの」
ロキ「もちろん知っているさ! と言っても、昔の記憶だからねえ……ワタシのお気に入りのお店、まだあると良いのだけど」
シーシャ「え、行きたい!」
ロキ「なんて名前のお店だったかな。確か古い写真フォルダに外観が……あっ、待ってくれ! これ昔のヤドリンだ、可愛いなあ」
ネオン(あんたもやるのか、そのくだり)
【完】
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