第3話

二人との生活は最初こそ心臓がバグバグして緊張していたが、ミルティもセリーヌもとてもいい子ですぐに俺も二人との生活に慣れていった。


「つまりリゼルは世界樹に宿る精霊って事なのかい?」


「はい、リゼルは世界樹リゼルが実体化した姿です。」


「世界樹と言うとかなり仰々しいのですが、リゼルは私の大事な友達なのです。」


「うん、私にとってもリゼルが大事な友達なんです。ヨロズ様。」


「うん、そうだよヨロズ様、セリーヌもミルティも大事な友達なの。」


「ですのでこのセリーヌ、ヨロズ様には本当に感謝しております。」


「私もヨロズ様には本当に感謝しています。」


「ミルティもセリーヌもおおげさだよ。」


「それじゃあ世界樹が枯れたっていう話は本当だったの?」


「はい、世界樹が枯れてしまい聖地ロスタリアは大混乱になっております。」


「突然枯れちゃったからねえ。本当にびっくりしたんだから。」


「世界樹は世界を支える存在って聞いた事があるんだけどそれは本当なの??」


「はい、事実でございます。世界樹たるリゼルの存在はこの世界の存在とリンクしています。リゼルが消えてしまうという事はこの世界も消えて無くなってしまうという事なのです。」


「世界の滅亡の危機だったって事か。結構やばい状況だったんだな。」


「それをヨロズ様がお救いになったのです。」


「大した事はしてないけどね。」


「リゼルが世界樹だとすると、リゼルは何か特殊なスキルみたいなものを持ってるの??」


「特殊スキルといいますか、ほぼなんでもできると言って差し支えないかと。」


「なんでも??」


「うん、みんなの傷を癒すことも最上級魔法を使う事も地殻変動を起こす事だってできちゃうよ。」


「地殻変動??リゼルってすごいんだな。」


「えへへ。」


「そういえばセリーヌはなんで俺の家に来たんだ??」


「はい、世界樹たるリゼルが枯れてしまい私達は途方にくれましたがある可能性にかけてみたんです。」


「ある可能性??」


「リゼルが別の場所に転生している可能性です。その可能性にかけて私達はすぐにリゼルの捜索を始めました。するとこのマテウス森林の辺りで急速に神聖度が上がっていたのでこの周辺に当たりをつけてリゼルを探してたんですヨロズ様。」


「そういう事だったのか。」


「この御恩は本当に言葉では言い表せません。大聖女としてもリゼルの友人としても感謝しております。」


「ヨロズ様!!私も本当にありがとうございました。大賢者としてもリゼルの友人としてもお礼を言わせてください。」


「いいよ別に大した事はしてないから。」


「それでヨロズ様?大事な話が二つございますがお話しさせて宜しいでしょうか?」


「聖地をどう扱うかって問題かな?」


「すでにおきづだったとはさすがヨロズ様でござまいす。現在、世界樹があった場所ロステリアは聖地として扱われています。」


「だけど世界樹であるリゼルがここに移った以上、今後ここが聖地として扱われる可能性が非常に高いって事だね。聖地ロステリアは何度か行った事があるけど、かなり大きな町だった。それが聖地でなくなるとなると色々問題が起きてくるだろうね。」


「確かに大きな問題だね、それで二つ目の話はなに??」


するとセリーヌがミルティに尋ねた。


「いいですね??ミルティ??」


ミルティがセリーヌに答えた。


「もちろん。」


そしてセリーヌが俺に言った。


「私とミルティをヨロズ様の妻として迎えてもらえませんでしょうか?」


「ちょっと待って!!どういう事??」


「そのままの意味です。私とセリーヌをヨロズ様のお嫁さんにしてください。」


「ヨロズ様はすでに世界に大きな影響力を持っているという事でございます。」


「全ての生命がリゼルの存在によって支えられていると言っても過言ではありません。」


「現在そのリゼルを支え守っている存在、それがヨロズ様なのです。」


「ヨロズ様は困ってる子を助けたぐらいにお考えなのかもしれませんが、功績はもっと大きくございます。」


「ヨロズ様は世界を救った大英雄なのです。」


「この世界の滅亡をヨロズ様によって救われたのです。」


「はい、お父様よりヨロズ様との婚約するよう指示がありました。リゼル大教国の総大司教であるお父様はヨロズ様との良い関係を築くために私をヨロズ様に嫁がせたいのだと思います。」


「うちの父様も同じ考えなのでしょう。」


「ヨロズ様と王女である私を婚約させてレイスター王国が不安定化するのを避けるつもりなのかと。」


「えっ?ミルティって王女様なの??大賢者なのに??」


「ええミルティは放蕩娘(ほうとうむすめ)ですから。王女としてよりも賢者としての方が有名なんですよね。」


「放蕩(ほうとう)は余計よ。でも私は確かに大賢者であるしレイスター王家の王女でもあります。」


「二人が俺と婚約させられる理由は分かったけど??セリーヌとミルティはそれでいいの??それじゃあ政略結婚みたいなもんだよ。」


「私は全然構いません。ヨロズ様とであればむしろ添い遂げたいぐらいです。すでにヨロズ様をお慕いいたしております。」


「私もです。王族の女子というのは基本に好きな相手と添い遂げる事はできん。ですが私もヨロズ様を心の底から愛しています。ヨロズ様と添い遂げられるなら私はとても幸せです。好きでもない貴族に嫁がされるぐらいならヨロズ様のお嫁さんにしてください。」


「じゃあもう俺の返事で決まるっていう事??」


「そうなります。」


「セリーヌ!!ミルティ!!俺の嫁になってくれ!!!」


「はい、よろしくお願いします。」


「ヨロズ様。とても嬉しく思います。」


そう言うとセリーヌとミルティは俺に抱き着いてきた。


「ミルティもセリーヌもずるい。私もヨロズ様のお嫁さんになる!!!」

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