「隣の席の美少女をナンパから助けたら、なぜかクラス委員を一緒にやることになった件」~リエナIf~ 異世界を救って帰還したら聖女がついてきたので、同棲して甘々ラブコメしながら面倒をみようと思います。
第81話『セイクリッド・インパクト・ベルスアモール』
第81話『セイクリッド・インパクト・ベルスアモール』
「愛……じゃと?」
「そうだ、愛だ! リエナが命をかけて授けてくれた聖剣『ストレルカ』を握るだけで、俺の心は猛烈に燃え盛っていくんだよ――!」
「愛――」
「そう、愛! 愛が! 真実の愛こそが! この熱くたぎる想いが! 俺を想うリエナの心が! 俺を無限に強くしてくれるんだよ!」
昔リエナにちょろっと聞いたことがあった。
『大神殿の禁書収蔵庫にある古い文献によると、女神アテナイは『オーフェルマウス』の総合神となる前は『愛』を司さどる女神だったんです。そして『真実の愛』を成し遂げた者に、全ての障害を打ち払う『女神アテナイの究極の加護』を授けたと、そう記されているんですよ』
リエナはたしかそんなことを言っていた。
リエナ自身も半信半疑だったので聞き流していたんだけど、今はそれが事実だったのだと本能で理解している。
この無限にあふれ出る力がそうなんだな。
「愛……」
「ああそうだ、愛だ!」
「
「それこそ俺が知ったことかよ。さてとリエナが待ってるからな、次でケリをつけてやる。この戦いもこれで終わりだ」
「
身体を深々と斬られ、腕を斬り落とされてもなお戦いに執着するドラグレリア。
だがしかし。
「言ったはずだ、俺は急いでるってな。そして受けてみろ、聖剣『ストレルカ』から放たれる必殺の『セイクリッド・インパクト』を! おおおおぉぉぉっっっ――!!」
俺は無限に湧き出てくる膨大な力を、聖剣『ストレルカ』に限界を超えて注ぎ込む!
今日一番にまばゆく輝き誇る聖剣『ストレルカ』を、俺は大上段に構えた。
「いくぞ、ドラグレリア。これが女神アテナイの力、女神アテナイの正義の体現。究極の一振りだ」
「ど、ドラゴンブレス――!!」
「聖光解放ぉぉぉぉっっっっ!! セイクリッド・インパクト・
暴走寸前ってほどに尋常ならざる光を発している聖剣『ストレルカ』。
地上の太陽と化したそれを、俺は一気に振り下ろした!
最後の抵抗で放たれたドラゴンブレスを、聖なる白銀をまとった刃は歯牙にもかけずに弾き飛ばしながら、ドラグレリアの巨体を斬り裂き。
そしてその聖なる業火が、ドラグレリアの全身をことごとく焼き払っていく!
「ぐギャァァァァァァァァ――――っっ……………………」
ズシン。
絶叫をあげた後、糸を失ったマリオネットのようにドラグレリアが崩れ落ちた。
この一撃を喰らってなお、まだかろうじて生きているようだが。
さすがにもう戦闘意欲はないだろう。
今の一撃は、どちらが上かを理解するのに十分すぎたはずだ。
「俺の勝ちだ」
「……なぜ、止めを刺さぬのじゃ……?」
もう戦いは終わったと、くるりと背中を向けた俺に、ドラグレリアがつぶやくように尋ねてくる。
「あのな、文化祭の時に言っただろ。俺はこの世界じゃ勇者じゃなくて普通の一般人をやってるんだってな」
俺は顔だけ振り返るとそう答えた。
「そう言えば言っておったの……」
「この世界の一般人は、勝ったからってむやみやたらに負けた相手を殺したりはしないんだよ。俺はそこんところを譲る気はない。そりゃ戦いの途中で勢い余って殺すことはあるだろうけど、それとこれとは話が別だ」
「なるほどなのじゃ……」
「それにどっちが強いかは白黒はっきりつけた。お前だって俺を殺すことじゃなくて、どっちが強いか確かめるのが目的だったんだろ? だったらもうこれ以上のことは必要ない」
「うむ……圧倒的なほどに、勇者殿の勝ちなのじゃよ……認めるのじゃ……」
「ってわけで俺とお前の関係はもう終わりだ。何より俺にはお前を殺すよりも先に、やることがあるからな」
俺はドラグレリアとの会話を打ち切ると、リエナに駆け寄った。
地面にぐったりしているリエナを優しく抱き起こす。
「リエナ、全部終わったぞ。もちろん俺が勝った。『絶対不敗の最強勇者』の二つ名は今なお継続だ。だからもう安心してくれ」
「さすがですね、勇者様……でもごめんなさい、勇者様の顔がもうよく見えないんです……声も聞こえづらくて……」
しかし俺の腕の中でうっすらと目を開いたリエナの口調は弱々しく、目は全く焦点があっていなかった。
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