第28話 捜索
何故か、この間の中間発表会からとわと連絡がとれない。
少し早めに森の辺りまで行ってみても現れない。 いつもの練習場にやってきても現れない。 行方をくらましてしまっていた。
「おかしいな・・・・なんで突然消えたんだ・・・? あんなに元気そうだったのに・・・・」
とりあえず僕は数日、いつもの迎えに行くルートを往復しつつも、練習はこれまで通り継続していた・・・が、やはりとわの事が心配で徐々に手につかなくなってきていた。
やはり、一度とわの家に行ってみるべきか・・・・。
僕は、もう一度あの山の中に入ってみることにした。
もうあの頃と違って、今の季節はすっかり冬の入り口になっていて、空気もすっかり冷たい匂いになっていた。
あの時の記憶をどうにか掘り起こしながら僕は、山の懐にある森之宮神社を目指した。
「とわーーーーーーー!!! とわあああああああああああ!!!! いたら出てきてくれ――――――!!」
声を張り上げながら、手を振り、足を動かして前に進みながら、僕は懸命にとわを探していた。
山の中は本当に寒くて、木々に日光を遮られて薄暗かった。
厚着をしてきていたけど、服を突き破ってくるかの様に、寒さは鋭く僕を襲ってきた。
でも、僕はそれでも必死になって山の中をかき分けるように進んでいった。
全てはとわに会いたい一心だった。
「とわああああああああああ!!!!!!!とわああああああああああ!!!!頼むから・・・・頼むから出てきてくれ・・・・お願いだよ・・・・」
あの日、衝動に駆られて断ち切りそうになった僕を救ってくれたあなた。僕の忘れかけていた夢を取り戻させてくれたあなた。 このまま会えなくなってしまうのは絶対に嫌だった。
せめて・・・・せめて悩みがあるなら相談してほしい。体調が悪いのなら頼りにしてほしい。
お願いだ・・・・お願いだ・・・・
随分よくわからないところまで彷徨い続けて、だんだんと疲れてきた。足も重たくなってきた。
それでも僕は歩き続け、探し続けた。
でも、それでもまだ現れない。
それでも・・・・それでも探し続けて・・・・遂に、僕は足元の木の根に足をすくわれた。
「・・・・・!?!?・・・うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
僕はそのまま、斜面を転げ落ちていった。
どうにか腕や足を出して止まろうとするも、その抵抗は空しく僕はひたすらに斜面を転げ落ちていって、遂に木の幹に当たって止まった。
とりあえず、身体を多少打った以外はどうにか大丈夫そうだった。
ゆっくりと身体に力を入れてみる。 少し重たいけれどどうにか手足は動いて、立ち上がることができた。
辺りを見渡してみると・・・・なんだか見覚えがあるところにたどり着いていた。
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