第15話 サルベージ
「なんだ、お前起きてたのかよ!?」
「そりゃ起きるわよ。あんな気持ちよさそうに歌ってたんだもの。」
やべえ、めっちゃ恥ずかしい。あれ全部聴かれてたのか。
「おいおいマジか・・・・とわが思いっきり寝てるもんだから・・・・うわああああ・・・・恥ずかしい・・・・・」
「別に恥ずかしがることないじゃない。私別に歌とかそういうの詳しいわけじゃないけど、凄く上手だと思ったわ。なんていうか、凄く歌声に思いが乗り移ってるみたいな感じで」
「お、おう。そりゃどうも・・・・。まあ、嬉しいわ。ありがと。」
頭を掻きながらそう答えた。
さーて、そろそろ列のかなり前の方に来たかな。後何分くらい待つのかわからんが、ここまでくりゃもうすぐだ。そんなことを考えていると、また、とわが訊ねてきた。
「貴方、本当は昔歌に精通してたんじゃなくて? あの歌い方は素人のそれじゃないわ。」
「いやあ、まさかぁ・・・そんなことより昼飯・・・・」
「話を逸らさないで!!」
えらく強い口調で言われたものだから、僕はちょっとびっくりした。とわがここまで声を荒げてモノを言う事はなかったから、少したじろいだ。
「この間、私は貴方を信用して私の大事な事を話したんだから、貴方も何かつっかえる事があるなら、この際言ってよ! 私たち、仲間じゃない。」
真剣なまなざしでとわは訴えてきた。
そうだな、確かに僕は自分の心の水底に沈めていた、あの事をずっと話してなかったな。
誰にも言わないつもりでいたけど、とわにならいいか。 自分の中で決心が固まった。
「・・・・分かった。じゃ、僕も昔大事にしていたものの話、するよ。」
深呼吸をして、僕はとわに告げた。
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