多重人格者はデスゲームで無双する

榊ジュン

ゲームの世界に閉じ込められた

第1話 VRRPGスピリットファンタジアンとプレイヤーA

 オレの名前は山神 晶やまがみ あきら、19歳の大学生だ。


 地方から出てきて東京で一人暮らし、電機系の大学に通っている。


 子供の頃、色々な新薬を開発したせいで神童などと言われていたが、現在は大学でサークルにも入らず、目立たない様にヒッソリ勉強して単位を取り、夕方から夜9時まではコンビニ『だるまマート』でバイトしている。


 今日もバイトが終われば今ハマっているVRRPG『スピリットファンタジアン』の世界で大暴れだぜ!


 コンビニバイトも終了時間になり、店長の佐藤さんに業務を引き継ぐとオレはウキウキ気分で賞味期限切れの弁当を2つ貰い、帰路に着く。


「じゃあ、お疲れっした~!」


「ああ、気を付けて、明日もヨロシク!」


 匠さんは35歳のイケメン独身で、オレに『スピリットファンタジアン』を教えてくれた恩人だ。


 ただし、シフトが合わないのでゲームで会ったことは無い、会ったとしてもお互い分からないだろう。


 この『スピリットファンタジアン』というゲームは初期でプレイヤーが決めれるのは名前だけ、専用のVRヘッドギアで脳波(?)を読み取り、アバターと種族、初期能力は勝手に決定される。


 種族は人族、エルフ、ドワーフ、小人族、獣人族、魔族などがメジャーで、レア種族として、ハイヒューマン、天使族、神族、魔王族、怪物種、機械種と言うのがあるらしい。


 因みにリセットしても同じ種族で始まる事からリセマラリセットマラソン信者がネットで激しく叩いていたのは過去のことだ。


 最初は皆旅人で始まり、レベルを10上げることで転職が可能になる。


 職業は戦士系、魔術師系、僧侶系、生産系など自身の行動によるアライメントとステータス値で選択が出来る、そのかず数百とも数千とも言われていて、農民から王様まで何でも有りなんだが、レアな職業に就くにはやはり条件が厳しい。


 このゲームが出た頃は、上記の仕様からクソゲー扱いされていたが、一切課金がないどころか、ゲーム内の通貨を現実のネットコインに換金出来る仕様を公開してから一気に世界中のゲーマーから支持され、プレイヤー数は億を超えた言われている。


『スピファン長者』と言う言葉がネット検索で出てくる程だ。


 家に着いたオレは早速弁当を2つとも食べ、ヘッドギアを装着、ログインする。


 オレのゲーム内での名前は『A』だ、エースじゃなくエー、アキラのA、単純だろ?


 種族はレア種族のハイヒューマン、職業は侍だ。刀術による一撃必殺、これが俺のスタイルだ、判りやすくて良い。

 ハイヒューマンはヒューマンより成長しやすくパラメータも有利だ、レア種族という割には100人に一人くらいの割合でいるので、そんなにレアではなかったりする。


 このゲームのMAXレベルは500、俺のレベルは450、こう見えてもトッププレイヤーの1人で紫鬼シキなんていう酷い二つ名で呼ばれている。


 このゲーム、同じスキルでも個人毎にエフェクトが違っていて、俺の場合スキルを使うと紫色のオーラが出ること、キャラクターの髪色が赤紫なのでこんな二つ名で呼ばれるようになってしまった・・・


 侍は攻撃系の魔法(炎属性と風属性)も使えるんだが、俺は雑魚を蹴散らす時にしか使わない。


 ログインした俺はベッドから起き上がる。


「今日は何処に狩りに行くかなぁ・・・」


 ここはが中古で買った都の外れにある自宅だ、自宅があると所持数を気にする事なくアイテム保管ができて、更に泥棒に盗まれる心配もない。


 中古の家にしたのは、同居人(?)がケチで、機能が変わらないのに大きな家なんか要らないと主張したからだ。


 だが家があれば、もしもPvPで負けたとしても、取られるのは所持品と所持金の一部で自宅のものは安全だ。


 あと、ゲームの仕様でログアウトは宿屋かキャンプ、自宅で休む、もしくは殺された場合も一旦ログアウトになる。

 デスペナルティは装備品を含めた所持品のばら撒きとレベルの減少だ。


 蘇生魔法は確認されておらず、そんなものは無いのではないかと噂されている。


 ん?俺は既にゲームを始めて3ヶ月だが、今日は自宅に変な違和感があるような感じがする、よく判らないが、リアルさが増しているような?


 俺のアバターは浪人風の着流しに大小の刀、赤紫の髪を蓬髪にしている。


 俺が装備を確認して自宅から出ると、近所のプレイヤー達がウロウロしていた。


 この国は昔の日本に似せたジャポネ国、国王ならぬ殿様が支配する国で、日本人や日本が好きなプレイヤーが集まっている。


「ようミーニャ、どうしたんだ?」


 俺は知り合いを見つけて声を掛けた。

 赤毛の獣人族の女の子である、ミーニャだ。


 ミーニャは義賊、格闘ができる盗賊で革鎧と腰に短刀という姿をしている。


「ああ、Aさん、おはようございますッ!

 いやぁ、今日ログインしたユーザが、皆ログアウト出来ないって騒いでるんすよね?

 それにこの風景、なんかリアル過ぎって言うか、風を感じるというか、ほら、地面の土も掴めるなんて、ゲームとしておかしくないっすか?」


 おはようって、リアルは夜だけどな。


「確かに、風を感じる・・・」


 ミーニャはリアルでは女子高生で体育会系の部活に入ってるらしい、スピファン歴は1ヶ月でタチの悪いクラン(プレイヤー達のグループ)に絡まれているのを助けてから、最近はよく一緒に行動している。


 ゲーム内で仲が良い奴らは他にもいるが、彼女は体育会系らしく一緒に居て苦にならないのが気楽で良い。


 ミーニャに言われて俺も気付いたが、ゲーム内なのに、肌で風を感じるとか実装できるんだろうか?


 いや、そもそも、現実と同じ感覚で視野や手足が動いている、いや現実よりも冴え渡っているような、、、


 俺はミーニャが土を弄っているのを眺めていると、他のプレイヤーの叫び声が聞こえた。


「何だよ!ログアウトどころか、GMコールも無いじゃないか!そろそろ戻らないと仕事に行けないじゃんかよ!」


 叫んでいるのは近所に住んでいる小人族のセイヤ☆さんだ、リアルではホストをしてるらしい。

 俺はステータスからお知らせを見たり、メニューに変わった事がないかを確認した。


「アップデートの話もバグの通知もないな、他にも外部のSNSとかの連携が無くなっている。

 直感だけどなんかヤバイ、俺は一旦家に戻ってみるわ。ミーニャもあまり町とか行くなよ、この状況はヤバイかも」


 俺は余り考えるのが得意じゃない、こいういうのは得意な奴に任せれば良いんだ。


「あの、アタシも一緒に居て良いすか?」


 不安なんだろう、瞳をウルウルさせながらこちらを見てくる、スピファンでこんな表情はなかった筈なんだが、この子はから、問題は無いだろう。


「良いぜ、じゃあついて来な」


 俺は一旦ミーニャと自宅に戻ることにした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る