第3話

 翌日、彩は目が覚めると真っ先に新聞を取りに行った。

昨日、昼間は晴れていたので雪はほとんど解けていたが相変わらずの寒さだった。

ポストに張り付けておいた封筒はなくなっておりポストには新聞が入っていた。


(新聞配達のおじさん、手紙受け取ってくれたのかな)


もうおじさんと決めつけていたが彩はまるで恋人に手紙を渡したくらいになんだかドキドキしていた。まだ恋人が出来た経験もない彩だったが。


彩は母親には手紙の事を話していた。

新聞をテーブルに置きながら


「封筒がなくなってたから新聞配達のおじさん、読んでくれたかも」


「そう、彩の感謝の気持ち届くといいね」




 それから2日後の朝、

新聞を取りに行くと新聞の間に封筒が挟んであった。

表には『少女A様』と書いてあった。


「わぁ~、返事が来た~」


急いで家に入った彩は興奮して


「お母さ~ん、新聞配達のおじさんから返事が来たよ」と言いながら急いで封筒を開けてみた。



―― 少女A様へ 


 お手紙嬉しく拝見しました。

今までポストの所に「新聞配達お疲れ様」とか

「新聞配達ありがとうございます」とか書いてあることはありましたが少女A様のようにお手紙を頂いたのは初めてです。

仕事としてお給料をもらいながら配達しているので届けるのは当たり前のことですがこうして感謝をして頂けることはこの上なく有難く嬉しい事です。

僕としても励みになり新聞配達に誇りが持てます。

綺麗で丁寧な字を見るときっと素敵なお嬢様なのでしょうね。

中学生かな?高校生かな?なんて想像しながら読みました。

僕の事はおじさんと思って頂いて間違いないです。

この手紙は僕の一生の宝物になりました。

こちらこそありがとうございます。


―― 新聞配達人のおじさんより




 彩は手紙を読んで嬉しくなった。

これを機に毎月1回程度の手紙を書くようになった。そして新聞配達人さんからも毎回返事が届くようになった。





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