三題噺.130:ボタン、故郷、感謝(140字)

 名門校に受かるべく都へ旅立った幼馴染が半月で帰ってきた。私が一枚のボタンを持って彼を迎えると、今更何だと突き放される。このボタンは別れ際に彼のシャツから落ちたきり渡せずにいた物だ。もし夢の破れた理由が身嗜みだとしたら――少しの親切で幼い彼が浮かべた笑みを思い、私は激しく後悔した。

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