三題噺.113:空、お手玉、ファッション(140字)

 人の子に投げられ高く飛んだお手玉に、可愛いね、と頭上でからすが鳴いた。ありがとう、と返そうとしたお手玉は、忽ち空から地面へ引き寄せられ、着いた勢いで花柄の袋を破いてしまった。折角褒められた体を失い、悲しんだお手玉は小豆あずきの隙間を潜り抜け、やがて何を思ったか烏の群れに付き従う風となった。

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