三題噺.107:杭、キウイ、防ぐ(120字)

 煩わしい社会に辟易した俺は、種子になってキウイの中へ転居した。ざらついた外皮に守られたこの空間では何もしなくていい。千に及ぶ同胞も誰も動けないから差し出た真似をしてこない。このまま静かに腐りたかったが、やがて巨大な牙が俺達を食い尽くした。

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