『美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件』 番外編 おまけ!

夜依

Twitterにあげたもの改稿版

ある日の買い物デート

 カーテンの向こうで布が擦れる音がする。

 草食系だ、なんだ、と言われがちな俺ではあるが、向こうにいるのが愛しの彼女、廣瀬ひろせ芽衣めいなのだから、カーテンの向こうを想像してしまうのは仕方のないことだろう。


「どうかな?」


 悶々とした時間を過ごしていると、カーテンが少し開いて紺のリブニットに身を包んだ芽衣が顔を見せる。

 少し広く開いた胸元ではネックレスが光り、細い脚は薄いベージュのパンツに包まれている。大人っぽさが強調されたキレイ目の格好に、おぉ、と声が漏れる。


「似合って――」


 言いかけたところで、芽衣がぐるりと回って今まで見えていなかった後姿が見える。リブニットは背中を隠すという仕事を放棄しており、V字の大きな切れ込みから硝子を折り重ねたような透き通った背中が見えている。


「なんか変だった?」

「いや、その、背中がね?」

「背中が開いてるデザイン、流行ってるんだって。どう?」

「まあ、芽衣は肌綺麗だし、似合うんだけどな。なんというか、それで出掛けられるのは……」


 我ながら心が狭いと思うが、普段は布地に隠されたその背中を、道行く他の男どもに見られるのは、なんというか、いい気がしない。そんなことを考えながらも口ごもっていると、芽衣は俺の考えでも読んだかのように顔をにやけさせながら口を開いた。


「もしかして、他の人に見られたくないとか?」

「まあ、一応、そんな感じだ……」


 俺が頷くと、芽衣の表情筋はすっかり緩んで、先ほどよりもにやにやと笑いながら、上機嫌にそっかーと何度も頷いて見せる。ちょっと鬱陶しい気もするが、そういうところも可愛らしい。


「そうだよ、独占欲だよ。だから、そんなにニヤニヤするなって。ちょっと恥ずかしくなってきたし」

「分かったって。それじゃあ、どうしよっかなぁ」

「まあ、背中開いてるのがいいなら、止めないけど……」

「壮太の独占欲をこれ以上刺激しちゃうのもアレだし、背中が浅いのもあったはずだし、そっちにしよっかな」


 その言葉に安堵の息をこぼすが、まだ、それで安心しきる訳にはいかない。そうしてくれ、と溢してから、覚悟を決めるために大きく息を吸えば、芽衣の甘い香りが鼻孔をつく。


「あと、その、アレだ。背中出すならもうちょっと気を付けてくれ。それ用のもあるんだろうけどさ」


 気付いていないのか、え? なんて声と共に、頭に大きな疑問符を浮かべる芽衣。一応は試着室の前で、人の姿も見られないとはいえ、それを口に出すのは憚られたのだが、仕方ない。


「だから、アレだ。開いてる部分から下着が見えちゃってるから、気を付けてくれって話だ」

「えっ……あっ、ほんとだ。壮太のエッチ」

「えー、なんでそうなるんだよ。俺が悪いの? って、芽衣、人来たからカーテン閉めて」


 芽衣を少し強引に試着室に押し込めて、カーテンを閉めるように促す。少し強引に行動したのが珍しかったのか、芽衣は、う、うん、とだけ返事をしてカーテンを閉める。芽衣の頬が少し赤くなっていたような気もしていたが、それを確かめようにもすでにカーテンの向こう。

 少し静かになった試着室の前で、芽衣が次の服に身を包んでくるのをゆっくりと待つ。

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