勇者はノーマの復帰に動く
勇者パーティーが下山し王都に戻ると、賢者が倒れた。
「過労だな。ノーマが抜けて、錬金術・攻撃魔術・回復魔術・補助魔術と負担をかけすぎたぜ」
「それに国で一番高い山に登りましたからね。分かりました。2人は数日お休みにしましょう。私から報告しておきます」
ミントは勇者にウインクした。
「私たちは働きすぎなんです!ノーマが私たちの下に兵を100人つけさせたのは、頑張りすぎ防止の為もあると思います」
「そうか、助かるぜ。ミントもほどほどにな」
「分かってます。のんびり仕事しますよ」
「・・・・・って事があったぜ」
賢者はベッドで横になりながら勇者の話を聞く。
「ミントには、世話になってる」
「だから、しばらく休もーぜ」
「しばらく、休ませてもらう」
「その前に、お休みのキスがまだだ」
勇者と賢者の唇が重なる瞬間
ミントが部屋に入ってきた。
「みんなからお見舞いの、」
ミントは両手で口を押え、急いで扉を閉めた。
「わ、私は何も見てません。ゆっくり、た、楽しんでください」
ミントは走って立ち去った。
「今日は、寝る」
「そうか」
賢者の顔が真っ赤になり、顔を隠しながら眠った。
◇
【7日後】
皆回復し、依頼を数件こなした後、勇者パーティーは作戦会議を開いた。
勇者パーティー指揮下の兵により魔物狩りは進んだが、部下が増えたことで様々な問題が発生しているのだ。
「最初に問題を全部言っていきますね、1つはビックピヨのテイムが進まず、移動の足が不足しています」
「これはノーマが居ないと厳しいぜ」
ノーマは過去にたくさん騎乗系の魔物をテイムして王都に行きわたらせた。
だが、どうしても戦闘や魔物の襲撃で騎乗系使い魔の数は減り、すぐに不足状態に陥るのだ。
「テイムするには魔物を弱らせる必要がある。でも、手加減して魔物と闘うと魔物使いは死にやすい」
戦闘をこなしつつテイムを使えるのはノーマ以外に居ない。
魔物使いの戦闘力は弱いのだ。
「次は、ポーションの不足です。材料の薬草は足りていますが、ポーションを作る錬金術師が不足しています。回復魔術を使える兵士をこれ以上こちらに回してもらうのも錬金術師もこちらに回してもらうのも無理なようです」
勇者パーティーと部下の兵士100人が使える資金は限られている。
大量にポーションを買う事は出来ないのだ。
「ノーマが居ればたくさんポーションを作れるんですけどね」
「ノーマは回復力が高いからな。マギ以上にポーションをたくさん作れる」
「ポーション作り、私1人じゃ厳しい」
「次は斥候不足です。魔物の索敵能力より、討伐能力の方が高く、バランスが取れていません。大きな問題は以上です」
「全部の問題は、兵の訓練不足だ。この国は戦士系の教育能力だけは高いが他はすべて低いぜ」
「しばらくは、私がポーション作りと回復魔術を使う。時間があれば教育もする」
「マギ、無理しないでくださいね。また倒れちゃいますよ」
「それしかないが、ノーマが居れば全部解決だぜ」
ノーマの重要性を勇者パーティーは最初から分かっていた。
「提案がある。今斥候が不足している。それでも斥候を1部ノーマの探索にも当てたい」
「賛成だぜ」
「賛成です!」
こうしてノーマ探索チームが結成された。
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