魔物強襲①

 最近修行続きでアイラとサーラが疲れている。

 3日間休む提案をしたらすんなり通った。


 休日の初日の夜はエリスを入れてパーティーを開いた。

 ミートソースパスタ・野菜スープ・サラダというシンプルなメニューだったが、エリスが入ると絶対に飲み会に変わる。


「手ぶらで来るのは失礼ですわ」

 と言って酒を持ってくる。


 俺達は次の日、記憶を無くして起床した。






 午後からは王都の中央でショッピングに来ている。

 こういうリフレッシュも大事だ。

 サーラとアイラには好きな物を買ってもらう。


 カンカンカンと鐘が鳴る。


「ねえ、何か外が騒がしいよ」


「ですね、何かあったのかもしれません」


 外に出ると兵士があわただしく動く。


 俺は兵士に声をかける。


「何があったんだ?」


 兵士は忙しかった為かそのまま通り過ぎた。


 アイラが街の人に声をかける。


「何かあったの?」


「何でも、魔物の大軍が現れて防壁で戦闘が始まるみたいだよ」


 魔物の大軍か、休日は終わりだな。


「魔物狩りに行くか」


「そうだね」


 俺達はすぐに着替えて防壁へと向かった。


 幸い町の人の動きを見ればどこに魔物の大軍が出たか予想できる。


 兵士は魔物の元へと向かい、戦えない者は反対側に逃げる。







 すでに防壁の門は破壊され、豚の魔物と人間の乱戦状態になっていた。


 豚の魔物は回復力に優れ、そこそこ打たれ強い。


 長期戦になると人間側が不利になる。


 更に冒険者側と兵士・騎士側が分断され、連携が取れなくなっていた。


 冒険者が特に追い詰められている。


 原因は4体のオークだ。


 フェイズ3の魔物であるオークは本来熟練の兵士や冒険者が大人数で1体を包囲し、犠牲を出しつつ何とか倒すことが出来る魔物だ。


 あそこまで乱戦になりながら相手をする魔物ではない。


「まずい!すぐ冒険者側の援護に行くぞ!」


 俺達は走り出した。






冒険者達は混乱状態に陥っていた。


「もうポーションが無い!」


 戦士の男が負傷者を担いで後ろに下がる。


 左腕で負傷者を担ぎ、右手で重いソードを無理して扱う。


「おい!死ぬな!回復できる奴は居ないか?金なら払う!誰かあああ!」


 俺はヒールをかけて傷を癒していく。


「セイだ!セイが来たぞ!」


「負傷者を集めろ!」


 俺とサーラは素早くヒールをかけていく。


 そこに冒険者が走ってくる。


「セイ!ガイを助けてくれ!ガイが俺達を守る為におとりになって包囲されている。4体のオークに囲まれている!」


「オーク4体か!すぐに向かう!」





 ガイは魔物に包囲され、孤立していた。


 更に4体のオークに囲まれ、一気に消耗する。


 セイが来る前からガイはオークにマークされていた。


 理由はガイが強いからだ。


 ガイさえ倒せば他の冒険者は簡単に蹂躙できる。


 俺は1体のオークをメイスで殴り飛ばし、ガイにヒールをかける。


「サーラ!アイラ!ガイの周りの雑魚を減らせ!」


 サーラとアイラはオークを避けつつ魔物を倒していく。


「ガイ!大丈夫か?」


「きついっすよ」


 ガイの服には血がにじんでいた。


「我慢して戦ってくれ!」


「無茶言うっすね」


「俺がオークを全部倒す!」


 雑魚が邪魔だ!


 俺は空中を走り弧を描くように1体のオークに迫った。


 メイスに魔力を込め、連撃を浴びせ、オークが倒れる。


「後3体!」


 こうして同じ方法でオークを全て倒す。


 俺は叫ぶ。


「オークは倒した!次は俺達が攻める番だ!」


 冒険者達は雄たけびを上げる。


「「うおおおおお!」」


「今度は俺達が助けるぜ!」


 俺はフェイズ2の豚に狙いを絞って倒していく。


 サーラとアイラは青のリングと赤のリングを使い、とにかく魔物を倒す。


 これにより完全に流れは変わり、冒険者は一方的に魔物を蹂躙する側となった。


 冒険者側の魔物を全滅させるが、皆ボロボロで座り込んでいた。


 ガイは血を流しすぎたせいかヒールをかけても顔色が良くならない。


 アイラとサーラは魔力を使い果たし、赤のリングと青のリングが壊れるまで魔物を狩る。


 向こうでは騎士と兵士が戦い続けていた。


「俺が援護に行ってくる」


 

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