第5話 陰謀の影には美女がいる

鹿島『プレゼン…ですか?』

思わぬチャンスの到来に、鹿島は思わず聞き返した。


栗林『ええ、佐川が提案してきました。プレゼンでの勝負なら、原案をお持ちの御社が圧倒的に有利です。ここで勝負をかけて、信頼を勝ち取りましょう!契約金の差はありますが…もう後はありません…!』


栗林の言う通り、これは最後のチャンスであった。

しかし、ここで負けると役員会議は免れない事実に変わりはない。


鹿島『たしかに、我々ランディアは1年以上前から次世代タイヤについて構想を練り上げてきた…。プレゼンなら負ける気がしないですよ。』



栗林『最後の望みです。鹿島さん、よろしくお願いします!』




鹿島と栗林は最後の最後に起死回生のワンチャンスを掴んだ。

深くお辞儀をした鹿島は、会社へと戻った。



社長室で、鹿島は改めて指示を出す。


鹿島『というわけでシノシノラバーとプレゼンを行い、それを踏まえてどちらと契約するかを決めるとのことだ。原案の補強を頼んでいた高中、滝沢、君たちにこのプレゼンを任せたい。』



滝沢『私は構いません。話すのは得意なのでお任せください。』

滝沢はいつも通り、変わらぬ表情で社長の指示を聞いた。


高中『私も人の心を掴むのは得意です。必ずこのプレゼンを成功させて社長へのプレゼントとします。』

高中はこんな時でもマイペースにユニークな答え方をする。

鹿島は口には出さないが、このようなユニークな部分を高中の長所と捉えている。



鹿島『うむ、よろしく頼む!』




高中、滝沢は連日残業を重ね、プレゼンの資料を作成した。





…………


カフェの中、良い香りがする。

紅茶の香りか、それともこの二人の美女の香りだろうか。


狩野『当初のスキームに変わりはないわ。手はず通りにお願いね。』

夏木と狩野の密会である。


夏木『わかった。報酬はきっちり払ってもらうわよ。』


夏木は狩野から金銭を受け取ろうとしているようだ。


狩野『それも当初の話の通り、成功報酬に変わりはないわ。』

刻一刻とプレゼンバトルの日が近づいていた。


陰謀の影には美女がいる。

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