その17 初日の出を見よう(後編)

 思わず声を上げた。

 空が染まり、新しい一年が明けていく。パジャマの裾から入り込む冷気のせいもあるだろうけど、年末とはまた違う「気をつけ、礼」な気分になる。

 と、背後で振動音。スマホの着信だ。LINEを開くと、日の出の写真と『きれい!』の文字。ミカちゃんからだった。

 一緒に初日の出を見よう――父との雪合戦後、別れが名残惜しくミカちゃんと約束していたのだ。

 父が覗き込んでくる。

「あけおめメール?」

「うん」

 もちろん父には内緒だ。すねるから。さりげなく父から離れ、東の空にカメラを向ける。ほんの短い間に、空はもう朝の色になりかけていた。慌てて写真を撮り、送る。

『もうすぐ明けそう』

 目を戻すと、新年が始まっていた。

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